司法試験H23公法系科目第13問【憲法の概念】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H23第13問を解説していきます。

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〔第13問〕(配点:2) 憲法の概念に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№25])

ア.国家統治の基本を定めた法としての憲法を「固有の意味の憲法」と呼び,そのうち国家権力を制限して国民の権利を保障するという思想に基づくものを特に「立憲的意味の憲法」と呼んで,その余の「固有の意味の憲法」と区別することがある。この区別は,憲法の内容に着目した区別であり,憲法の存在形式とは無関係である。

イ.憲法という名前で呼ばれる成文の法典(憲法典)を「形式的意味の憲法」と呼び,「実質的意味の憲法」と区別することがある。この区別の意義は,本来憲法典に書かれるべきことが書かれないことがあり,逆に,本来憲法の内容となるべきでないものが憲法典の中に書かれることがあるという点に注意を促すことにあるといえる。

ウ.憲法改正に法律の改正より困難な手続が要求される憲法を「硬性憲法」,法律の改正と同じ手続でよいものを「軟性憲法」として区別することがある。憲法の最高法規性は,憲法が「硬性憲法」として,国法秩序において最も強い形式的効力を持つ点に求められるのであって,憲法がいかなる基本価値を体現しているかということとは関係がない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ×

3.ア○ イ× ウ○ 4.ア○ イ× ウ×

5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000074976.pdf

アについて

「固有の意味の憲法」とは国家統治をする基本となる法という意味で、「立憲的意味の憲法」とは国家権力を制限することで国民の自由を保障するという立憲主義に基づく憲法のことを言います。

ここで述べられるように、上記2つは憲法が「どんな内容なのか」に着目しており、その存在形式については注目していません。 そのため、解答は◯となります。

イについて

「形式的意味の憲法」とは憲法として存在していればよく中身は問わないのに対して、「実質的意味の憲法」は特定の内容を持つ中身重視の憲法のことを言います。

このように、両者は対照的で、形式的な場合には重要なことが定められず、また、実質的な場合には必要でないことが定められる可能性があります(中身がないといけないため)。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

憲法97条

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
憲法というのは基本的人権という「個人の尊厳・尊重」ということを実現するための規範であり、それゆえに憲法に最高法規性があると言うことができます。
つまり、憲法の最高法規性は憲法がどれほどの価値があるものかと強く関係していると考えられるので、解答は✖となります。
以上、ア=イ=◯・ウ=✖なので解答は2となります。
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