司法試験H20公法系科目第9問【人身の自由】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H20公法系科目第9問を解説していきます。

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〔第9問〕(配点:3) 人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を 誤っている場合には2を選びなさい。解答欄は,アからウの順に( [№19]から[№21] )。

ア. 迅速な裁判を一般的に保障する憲法第37条第1項は,それ自体が裁判規範性を有するものではないので,現実にこの保障に明らかに反し,迅速な裁判を受ける被告人の権利が害されたと認められる事態が生じた場合には,これに対処すべき法律上の規定があるときに限ってその審理を打ち切ることができる。[№19]

イ. 道路交通法上の警察官の呼気検査は,飲酒運転を防止するために運転者から呼気を採取してアルコール保有の程度を調査するものであって,その者から供述を得ようとするものではないから,これを拒んだ者を処罰する旨の規定は,憲法第38条第1項に違反しない。[№20]

ウ. 憲法第39条前段は,何人も,実行の時に適法であった行為については刑事上の責任を問われない旨を規定しているが,行為の時に最高裁判所の判例が示していた法解釈に従えば無罪となるべき行為を処罰することは,同規定に違反するものではない。[№21]

出典

問題『司法試験H20公法系科目問題

解答『司法試験H20公法系科目解答

アについて

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憲法37条1項について「迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、もはや当該被告人に対する手続の続行を許さず、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定である」としています。

具体的な規定がなくても、審理を打ち切るという非常救済手段を定めているとされているので、解答は2となります。

イについて

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「憲法三八条一項は、刑事上責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したもの」とされています。 呼気検査はアルコールの程度を調査するものであり、供述を得ようとしていないことから違反しないとしているため、解答は1となります。

ウについて

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行為時に適法であった行為が処罰されないのはもちろんですが、最高裁判例の法解釈に従えば無罪となる行為を処罰することは憲法に違反しないとされています。

そのため、解答は1となります。

 

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