司法試験H20公法系科目第8問【学校教育】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H20公法系科目第8問を解説しています。
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〔第8問〕(配点:3) 学校教育に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を 誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄はアからウの順に ,[№16]から[№18] )
ア. 国は,必要かつ相当と認められる範囲において,教育内容について決定する権能を有し,教育の目的を遂行するに必要な諸条件を整備確立するため,教育の内容や方法について遵守すべき基準を設定できる。しかし,それは,教育における機会均等の確保と全国的な一定水準の維持という目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的なものにとどめられるべきである。[№16]
イ. 高等学校教育においても,国は,教育の内容及び方法について遵守すべき基準を定立する必要があるが,教科書を使用しなければならないとする学校教育法の規定は,高等学校については訓示規定と解される。なぜなら,高等学校においては,生徒の側に学校を選択する余地や教育内容を批判する能力が相当程度あり,教育の具体的な内容や方法については,教師の裁量も尊重する必要があるからである。[№17]
ウ. 憲法第26条第2項後段の義務教育の無償の規定は,直接には,普通教育の対価を徴収しないこと,すなわち,授業料の不徴収を定める趣旨である。ただし,教科書,学用品等の授業料以外の費用については,国の財政等の事情を考慮して立法により無償と定められた場合に,その限度で,同項の義務教育の無償の内容となる。[№18]
出典
問題『司法試験H20公法系科目問題』
解答『司法試験H20公法系科目解答』
アについて
国には教育の内容・方法などについて遵守すべき基準を定めることができますが、これは不当な支配とならないようにする必要があります。
そのため、必要かつ合理的な限度にとどまるということができ、解答は1となります。
イについて
普通教育においては、子どもの側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等をはかる上からも全国的に一定の水準を確保すべき強い要請があること等に思いをいたすときは、普通教育における教師に完全な教授の自由を認めることは、とうてい許されないところ 出典:『http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/016/057016_hanrei.pdf』
述べられるように子どもの側には選択する余地が乏しいため、教師の教授の自由は制限されるものとされています。
また、文部科学省でも高等教育は原則として教科用図書を使用する必要があるとされているため、解答は2となります。
ウについて
「国が保護者の教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは望ましいところであるが、それは、国の財政等の事情を考慮て立法政策の問題として解決すべき事柄であつて、憲法の前記法条の規定するところではないというべき」 出典:『http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/124/053124_hanrei.pdf』
立法で無償とされることもあるが、それは憲法26条2項の規定するところではないとされているため、解答は2となります。
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