司法試験公法系科目第19問【地方自治】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H20公法系科目第19問を解説していきます。
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〔第19問〕(配点:3) 地方自治に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№37]から[№39])
ア.憲法第92条は地方公共団体の組織及び運営に関する事項については法律でこれを定めることとしているから,法律で地方公共団体そのものを廃止することは許されないが,地方議会を諮問機関とすることは必ずしも違憲ということはできない。[№37]
イ. 憲法第93条第2項は地方公共団体の長,議会の議員を住民が直接選挙することを定めているにとどまり,地方自治法に定める議会の解散請求や議員,長の解職請求の制度それ自体は憲法上の要請ということはできない。[№38]
ウ. 憲法第94条は地方公共団体の条例制定権を定めており,地方公共団体は,広義の自治事務に該当する事務であれば,条例により住民の基本的人権に制約を課することも許されるのであって,このこと自体を直ちに違憲ということはできない。[№39]
出典
問題『司法試験H20公法系科目問題』
解答『司法試験H20公法系科目解答』
アについて
憲法92条地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
「地方自治の本旨」には住民自治・団体自治の2つがありますが、もし意見しか述べないような諮問機関としてしまうと、行政が議会を無視できるようになる半面、住民の意思が反映されなくなってしまいます。
そうすると、地方自治の本旨の背くこととなって憲法92条に違反することになるため、解答は2となります。
イについて
憲法93条2項地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
述べられるように、直接選挙することを要請しているのであり、他のことは要請していないと考えられます。 そのため、解答は1となります。
ウについて
憲法94条地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
法令にとらわれずに事務を行うことが広義の自治事務なのであり、住民の福祉向上のために条例を定めて(自治事務)、人権を制約することが直ちに違憲となるわけではありません。
その地域の実情などを考慮する必要が出てくるからと言えるでしょう。そのため、解答は1となります。
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