司法試験H25公法系科目第10問―〔教育を受ける権利〕

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験公法系科目H25の第10問を解説していきます。

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〔第10問〕(配点:2)
教育を受ける権利に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№18])
ア.憲法第26条の規定の背後には,特に,自ら学習することのできない子どもは,その学習要求を充足するために,教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するという観念が存在する。
イ.教育の具体的方法や内容に関して教師に認められるべき裁量には,おのずから制約がある。自分の考えと異なるとして教科書を使用しないで授業を行ったり,全員に一律の成績評価を行ったりすることは,教師の裁量の範囲内とはいえない。
ウ.憲法は,義務教育の無償を規定している。そこで無償とすることが求められているのは,授業料と教科書代のみであり,文房具代や給食費等就学に必要な一切の費用まで意味するものではない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000111054.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000111535.pdf

アについて

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最高裁では「みずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足する
ための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が
存在していると考えられる」としています。

そのため、解答は◯となります。

イについて

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最高裁は

教育の具体的内容及び方法につき高等学校の教師に認められるべき裁量を前提としてもなお、明らかにその範囲を逸脱して、日常の教育のあり方を律する学校教育法の規定や学習指導要領の定め等に明白に違反するもの

と述べて教諭らの行為がその裁量の範囲を逸脱するものとされました。よって、解答は◯となります。

ウについて

憲法は「義務教育は、これを無償とする。」と規定しており、この「無償」とは、「子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたものであり、教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である」と解するのが通例である。

出典『第4条 (義務教育) :文部科学省

ここで述べられているように「無償」となるのは授業料だけで、教科書代は無償とされていません。ただ、教科書無償措置法等で教科書代は無償となっています。

そのため、解答は✖となります。

以上、ア=イ=◯・ウ=✖なので解答は2となります。

 

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