司法試験H20公法系科目第7問【生存権の法的性格】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H20公法系科目第7問を解説していきます。

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〔第7問〕(配点:3) 生存権の法的性格に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に [№13] [№15])

ア. プログラム規定説によれば,憲法第25条第1項は,国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したにとどまり 個々の国民に対して権利を保障したものではない。しかし,「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための受給請求権が生活保護法などの法律で定められれば,その受給請求権は憲法上の権利として認められる。[№13]

イ. 抽象的権利説によれば,憲法第25条第1項は,国に立法や予算を通じて生存権を実現すべき法的義務を課している。しかし,当該条文を直接の根拠にして「健康で文化的な最低限度の生活」の保障を請求する権利まで保障するものではなく,その請求権は,生存権を具体化する法律によって初めて具体的な権利となる。[№14]

ウ. 具体的権利説を言葉どおりにとらえれば,憲法第25条第1項は,それを直接の根拠にして「健康で文化的な最低限度の生活」を確保するための具体的請求権を保障する規定ということになりそうである。しかし,具体的権利説といわれている見解は,必ずしも憲法のみを根拠に裁判所に具体的な給付請求ができるということまで主張するものではない。[№15]

出典

問題『司法試験H20公法系科目問題

解答『司法試験H20公法系科目解答

アについて

抽象的権利説に立てば、25条は国に政治的・道徳的義務を課したものであって具体的権利は保障されていないため、解答は2となります。

イについて

抽象的権利説に立つと、憲法25条の趣旨を実現するための法律が制定されていれば、裁判所に直接救済を求めることができるので解答は1となります。

ウについて

具体的権利説とは、憲法25条を直接の根拠として立法不作為の違憲確認などを求めることができる見解であり、具体的な給付請求まで認めていません。

そのため、解答は1となります。

 

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