司法試験H25公法系科目第11問―〔憲法31条と行政手続の関係〕

みなさん、こんにちは!

今日は司法試験公法系科目H25の第10問を解説していきます。

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〔第11問〕(配点:3)
憲法第31条が行政手続にも適用されるべきかどうかについて,同条が行政手続にも適用されると解する説,同条が行政手続にも準用あるいは類推適用されると解する説,同条が行政手続には適用されないと解する説がある。これらの見解に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№19]から[№21])

ア.適用説は,憲法第31条が要求する適正さが行政手続にも及ぶべきであると説きつつも,その程度は行政作用の性質に応じて異なり得るとする。[№19]

イ.準用あるいは類推適用説は,適正手続が求められるのは身体の自由を奪うような刑事手続に準ずる行政処分に限られるとする。[№20]

ウ.不適用説は,行政手続の適正さについて,憲法第31条からはその文言上これを導き出すことはできないが,憲法第13条など他の規定から導くことは可能であるとする。[№21]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000111054.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000111535.pdf

アについて

行政作用というのは国民の権利・利益に影響を及ぼすものであることから適正さが要求されますが、それは多種多様であり程度のものから軽いものまで様々です。

また、程度の軽い行政作用に対する適正さを程度の重い行政作用に要求すると問題が生じることもあるはずですから、その求められる適正さは行政作用の性質に応じて異なるべきです。

以上が適用説の考え方になると思うので、解答は1となります。

イについて

判例・通説では憲法31条の類推適用説が採られていますが、行政処分というものは多種多様であることから、刑事手続のように広く保障されてはおらず、一方で適用されるものに限定されることはないようです。

そのため解答は2となります。

参考:『憲法31条 - 法律の手続の保障 - 司法試験合格のための法律勉強日記

ウについて

不適用説は、憲法31条は「刑事手続き」に関する規定であり適用されることはないとしますが、人身の侵害などをそのままにしてはいけませんから他の条文から導く必要があり、それが憲法13条の幸福追求権などになると考えられます。

そのため、解答は1となります。

 

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