司法試験H20公法系科目第3問【公共の福祉】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H20公法系科目第3問を解説していきます。

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〔第3問〕(配点:3) 「公共の福祉」に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい (解答欄は,アからウの順に から ) 。 [№5][№7]

ア. 憲法第13条の「公共の福祉」は,人権の外にあって,すべての人権を制約する一般的な原理であり,憲法第22条,第29条が特に「公共の福祉」を掲げたのは,特別な意味を有しないという見解がある。しかし, このような見解では「公共の福祉」が極めて抽象的な概念であるだけに,人権制限が容易に肯定されるおそれが生じ,ひいては「公共の福祉」が明治憲法の法律の留保のような機能を実質的に果たすおそれがある。[№5]

イ. 「公共の福祉」によって制約される人権は経済的自由権と社会権に限られ,その他の権利・自由には内在的制約が存在するにとどまり,憲法第13条は公共の福祉に反しない限り個人に権利・自由を尊重しなければならないという,言わば国家の心構えを表明したものであるという見解がある。しかし,このように同条の法規範性を否定する見解は,プライバシー権などの「新しい人権」を憲法上の人権として基礎付ける根拠を失わせる。[№6]

ウ. すべての人権に論理必然的に内在する「公共の福祉」は,人権相互間に生じる矛盾・衝突の調節を図るための実質的公平の原理であり,例えば,社会権を実質的に保障するために自由権を制約する場合には必要な限度の規制が認められるという見解がある。しかし,この見解では,憲法第22条,第29条の「公共の福祉」が,結局,国の経済的・社会的政策という意味でとらえられることになり,広汎な裁量論の下で経済的自由権と社会権の保障が不十分になるおそれがある。[№7]

出典

問題『司法試験H20公法系科目問題

解答『司法試験H20公法系科目解答

アについて

アは一元的外在制約説という見解で、公共の福祉は人権の外にあり人権を制約することが広く認められています。

ただ、これは「法律の範囲内で臣民の義務に背かない限り」という明治憲法のような法律の留保的役割を果たすことになるうえ、人権制約がされやすく日本国憲法が人権を保障することに反する結果となってしまいます。

そのため、解答は1となります。

イについて

イは二元的内外在制約説になりますが、国家の心構え(訓示規定としてもよい)と解するならば、新たな人権を創出する根拠を失うことになってしまうでしょう。

そのため、解答は1となります。

ウについて

ウは一元的内在制約説になりますが、社会権を保障するために自由権を制約する場合には「必要な限度」で規制が認められるとされています。

自由権の衝突の場合には「必要最小限度」とされますが、上記の場合は「必要な限度」であり、社会権の保障が必ずしも不十分になるとは言えないでしょう。

そのため、解答は2となります。

 

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