司法書士試験H29午前の部第14問【根抵当権】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法書士H29午前の部第14問を解説していきます。
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第14問 根抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。
ア 根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更について,元本の確定前に登記をしなかったときは,その変更をしなかったものとみなされる。
イ 元本の確定前に債務者が死亡して相続が開始した場合において,相続の開始後6か月以内に,根抵当権者と根抵当権設定者との間で債務者の相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する旨の合意をしなかったときは,根抵当権の担保すべき元本は,相続開始の時に確定したものとみなされる。
ウ 元本の確定前においては,根抵当権者は,根抵当権の順位を譲渡することはできず,先順位の抵当権者から抵当権の順位を譲り受けることもできない。
エ 元本の確定後においては,根抵当権設定者は,その根抵当権の極度額を,現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
オ 第三者が振り出し,債務者が裏書をした手形上又は小切手上の請求権は,債務者との一定の種類の取引によって生ずるものでなければ,根抵当権の担保すべき債権とすることができない。
1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウオ
出典
問題『司法書士試験H29問題』
解答『司法書士試験H29解答』
アについて
民法398条の4第1項元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
民法398条の4第1項に定められる変更について元本確定前に登記をしなければ変更をしなかったとみなされるため、解答は◯となります。
イについて
民法398条の8第2項元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
民法398条の8第4項第1項及び第2項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
イは第二項に定められるものであり、その合意について6か月以内に登記をしなければ担保すべき元本は相続開始時に確定したものとみなされます。 そのため、解答は◯となります。
ウについて
民法398条の11第1項元本の確定前においては、根抵当権者は、第376条第1項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
民法398条の15抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける。
元本確定前に根抵当権の処分をすることはできませんが、先順位の抵当権者から譲り受けることはできるので解答は✖となります。
エについて
民法398条の21元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
民法398条の21に述べられるとおりですので解答は◯となります。
オについて
民法398条の2抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
特定の原因に基づき債務者との間で継続して生じている債権などは、民法398条の2第1項2項の例外として根抵当権の担保すべき債権となります。
そのため、解答は✖となります。以上、ウ=オ=✖・ア=イ=エ=◯なので解答は5となります。
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