司法書士試験H29午前の部第17問【債権者代位権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H29午前の部第17問を解説していきます。

 

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第17問 債権者代位権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

ア 債権の譲受人は,譲渡人に代位して,当該債権の債務者に対する債権譲渡の通知をすることができる。

イ 債権者が被代位権利を行使し,その事実を債務者が了知した場合であっても,当該債務者は,被代位権利について,自ら取立てその他の処分をすることができる。

ウ 土地の賃借人がその土地上に建築した建物を当該土地の賃貸人に無断で第三者に譲渡した場合において,当該建物をその第三者から賃借した者は,賃借権を被保全債権として,その第三者が当該土地の賃貸人に対して有する借地借家法第 14 条に基づく建物買取請求権を代位行使することができる。

エ 債務者が既に自ら権利を行使している場合には,その行使の方法又は結果の良否にかかわらず,債権者は重ねて債権者代位権を行使することができない。

オ 債権者は,被代位権利を行使する場合において,被代位権利が金銭債権であるときは,第三債務者に対し,その支払を自己に対してすることを求めることができる。 (参考) 借地借家法 第14 条 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において,借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは,その第三者は,借地権設定者に対し,建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ

出典

問題『司法書士試験H29問題

解答『司法書士試験H29解答』 

アについて

債権譲渡の通知をするかどうかは債権者が決定すべきことであり、判例も債務者が債権者に代位して通知をすることを認めていません。 そのため、解答は✖となります。

イについて

判例ではイのような場合には、債務者は被代位権利について処分する権利を失うとされているため、解答は✖となります。

ウについて

判例:最高裁判決昭和38年4月23日

民法423条について「債権者が民法四二三条により債務者の権利を代位行使するには、その権利の行使により債務者が利益を享受し、その利益によつて債権者の権利が保全されるという関係が存在することを要するものと解される」と述べます。

建物の賃貸人である第三者は、買取請求権を代位行使される結果として建物の所有権を失うことになり、不利益を享受することになります。

そうすると、上記423条について述べられたことによれば、代位権行使の結果として債権者が利益を享受することが必要になるため、解答は✖となります。

エについて

判例:最高裁判決昭和28年12月14日

要旨では「 債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法または結果の良いと否とにかかわらず、債権者は債権者代位権を行使することはできない」と述べられます。

債務者が自ら権利を行使すれば、債権者は債権者代位権を行使できなくなるため解答は◯となります。

オについて

判例では、債権者代位権を行使して第三債務者から自己への引き渡しを要求することも可能であるとしているので、解答は◯となります。 以上、エ=オ=◯・ア=イ=ウ=✖なので解答は5となります。

 

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