司法書士試験H29午前の部第11問【担保物権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士H29午前の部第11問を解説していきます。

 

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第11問 民法上の担保物権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

ア 留置権者は,留置物の換価代金について優先弁済権を有する。

イ 留置権は,留置権者が留置物の占有を失った場合には消滅するが,質権は,質権者が質物の占有を失った場合であっても消滅しない。

ウ 不動産の売買の先取特権は,売買契約と同時に,不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記した場合には,その前に登記された抵当権に先立って行使することができる。

エ 質権者は,質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。

オ 抵当権者は,利息を請求する権利を有するときは,満期後に特別の登記をしなくても,満期となった最後の2年分を超える利息について優先弁済を受けることができる。

1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ

出典

問題『司法書士試験H29問題

解答『司法書士試験H29解答

アについて

民法295条1項
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

留置権の場合はその物を留置するにとどまり、優先弁済的効力は原則認められていません。そのため、解答は✖となります。

イについて

民法302条
留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。ただし、第298条第2項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。
民法352条
動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

留置権は留置物の占有を失うことで消滅しますが、質権は質権者が質物の占有を失っても消滅しないので解答は◯となります。

ウについて

民法339条
前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
民法337条
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。
民法338条1項
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。

337条・338条に規定される方法で登記をすれば抵当権に先立って行使できるため、解答は✖となります。

エについて

民法366条1項
質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。

質権者は質権の目的となっている債権を直接取り立てることができる(直接取立権)ので解答は◯となります。

オについて

民法375条1項
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。

抵当権者は満期となった最後の2年分のみに抵当権を行使できますが、特別の登記があればそれ以前の定期金にも行使できます。 そのため、解答は✖となります。以上、イ=エ=◯・ア=ウ=オ=✖なので解答は4となります。

 

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