司法試験民法短答式試験過去問解説H28第14問【抵当権】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H28民法第14問を解説していきます。
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〔第14問〕(配点:2)
抵当権に関する次の1から4までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[№14])1.抵当権は,目的物の交換価値を把握する権利であるから,被担保債権額が抵当不動産の価格を上回っていても,物上保証人が抵当不動産の価格に相当する額を弁済すれば,抵当権は消滅する。
2.抵当権の被担保債権について不履行があった場合であっても,抵当権の効力は,その後に生じた抵当不動産の果実には及ばない。
3.抵当権者が第三取得者に対して代価弁済の請求をした場合,第三取得者は,その請求に応じなければならない。
4.第一順位の抵当権者の被担保債権が弁済により消滅した場合,第二順位の抵当権者は,消滅した第一順位の抵当権の抹消登記手続を求めることができる。
出典
1について
民法372条で留置権の規定が抵当権にも準用されることとされ、民法296条の規定によると抵当権にも不可分性があることになります。そうすると、被担保債権が消滅しない限り抵当権も消滅しないことになるので、解答は✖となります。
2について
民法371条では「抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ」とされているため、解答は✖となります。ここでは不履行後の果実に限定されていることに注意しましょう。
3について
民法378条で「抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する」とされています。
ここにあるように、抵当不動産の第三取得者は代価弁済を行った時は抵当権が消滅するとされていますが、これは「義務」ではないため拒否することも可能なので、解答は✖となります。
4について
第二順位抵当権者は第一順位の抵当権が消滅することで「順位が上昇する利益」があると言えるため、抵当権抹消登記手続を行えると解するのが適切です。そのため、解答は◯となります。
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