司法試験H21公法系科目第9問【酒類販売免許制事件】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H21第9問を解説していきます。  

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〔第9問〕(配点:3) 酒類販売の免許制が憲法第22条第1項に適合するか否かについて判示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成4年12月15日第三小法廷判決,民集46巻9号2829頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№19]から[№21])

ア.この判決は,許可制の場合には重要な公共の利益のために必要かつ合理的措置であることを要するとする一方で,租税法の制定に当たっては立法府の政策的・技術的な裁量的判断が尊重されるべきであるとして,許可制の必要性と合理性についての立法府の判断が政策的・技術的裁量の範囲を逸脱した著しく不合理なものでない限り,合憲であるとした。[№19]

イ.この判決は,酒類販売の免許制は,酒類が致酔性を有する嗜好品であることから,酒類の無秩序な販売による国民の健康安全に対する弊害を防止するために必要な規制であるとしつつ,消費者への酒税の円滑な転嫁のため,これを阻害するおそれのある酒類販売業者を酒類の流通過程から排除するための規制でもあるとして,規制の目的を複合的なものと判断した。[№20]

ウ.この判決は,酒類販売の免許制は,経済的弱者保護という意味での積極目的による規制とは異なるとした上で,免許の許否が実際に既存の酒類販売業者の権益を擁護するような運用になっているか否かに着目すべきであるが,そのような運用がなされていない限り酒税法の立法目的を明らかに逸脱するものであるとはいえず,合憲であるとした。[№21]

出典

問題『公法系科目H21

解答『公法系科目H21

判例はこちらになります。 

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アについて

アで述べられるような判決となっているため、解答は1となります。

租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、右の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、これを憲法22条1項の規定に違反するものということはできない 出典:『最高裁判決

イについて

酒類が致酔性を有する嗜好品であるということは述べられているが、国民健康的な観点からは述べられていない。 そのため、解答は2となります。

ウについて

積極目的規制など、そのような観点から判決は述べられていないと考えられるので、解答は2となります。

 

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