司法試験H21公法系科目第15問【衆議院解散権】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験公法系科目H21第15問を解説していきます。
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〔第15問〕(配点:2) 衆議院解散権に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№29])
ア.憲法第7条で挙げられた国事行為はもともと形式的・儀礼的行為であるから,同条により内閣の衆議院解散権を根拠付けることはできないという説によれば,解散は衆議院が自律的に決定したときにのみ可能であるということになる。
イ.内閣が衆議院解散を決定できるのは憲法第69条所定の場合に限るという説によれば,解散は新たな政治問題が生じた場合に国民の判断を求める制度であるということになる。
ウ.日本国憲法は議院内閣制を採っていると理解できるから,この制度の本質からして内閣には自由な解散権が認められるという説に対しては,議院内閣制の概念は一義的ではないという批判がなされている。
エ.現在の実務は,内閣の自由な衆議院解散権を憲法第7条で根拠付けているが,最高裁判所は,これが妥当な憲法解釈であるか否かについて判断を示していない。
1.アとイ 2.アとウ
3.アとエ 4.イとウ
5.イとエ 6.ウとエ
アについて
7条の解散権が認められないとするのであれば、解散も可能でないと考えられるので、解答は✖となります。
イについて
69条について
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
ウについて
信任・不信任の決議に対して総辞職せずに衆議院を解散させることができる点で、連帯責任の観点から議院内閣制が必ずしもそうではないという批判ができるでしょう。 そのため、解答は◯となります。
エについて
苫米地事件では、7条を根拠とする衆議院解散が有効かどうかについて、国会の判断を尊重しており7条解散の有効性を判断していません。 そのため、解答は◯となります。 以上、ア=イ=✖・ウ=エ=◯なので解答は6となります。
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