司法試験H21公法系科目第20問【条約に対する違憲審査】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験公法系科目H21第20問を解説していきます。  

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〔第20問〕(配点:2) 条約に対する違憲審査に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№40])

ア.日本国憲法と条約の関係についての条約優位説によっても,憲法第81条の「法律」や「規則又は処分」という文言の解釈次第では,条約そのものが違憲審査の対象となり得る。

イ.日本国憲法と条約の関係についての憲法優位説は,条約そのものが違憲審査の対象となるか否かにつき,肯定説及び否定説のいずれとも結び付く。

ウ.砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決,刑集13巻13号3225頁)の採る見解は,条約そのものについて一般的に違憲審査の対象となるとする立場と結び付き得る。

エ.条約が違憲審査の対象となるとする見解によれば,条約を違憲とする判決によって当該条約の国内法的効力及び国際法的効力のいずれもが失われることになる。

1.アとイ 2.アとウ

3.アとエ 4.イとウ

5.イとエ 6.ウとエ

出典

問題『公法系科目H21

解答『公法系科目H21

アについて

解釈によっても条約が優位であるのだから、違憲審査の対象とならないと考えられるので解答は✖となります。

イについて

憲法優位説に立っても、憲法81条、98条1項に条約がないことを根拠とする否定説・法律に準じて扱うべきとする肯定説を導くことができます。 そのため、解答は◯となります。

ウについて

憲であるか否の法的判断は、純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査に原則としてなじまない性質のものであり、それが一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外にある 出典『砂川事件最高裁判決

「一見極めて明白に違憲無効」な場合には司法審査の対象となるとしており、これは「裁量権が逸脱していないか」を判断していると言うことができるでしょう。

そうすると、実際には条約の審査を行っていることになるため、解答は◯となります。

エについて

違憲審査の対象とする見解に立っても、それは国内のみに限ることであり、国際的な効力を問題とするものではないとされています。

そのため、解答は✖となります。   以上、ア=エ=◯・イ=ウ=✖なので解答は3となります。

 

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