司法試験H20公法系科目第2問【公務員の政治活動】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H20公法系科目第2問を解説していきます。  

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〔第2問〕(配点:3) 公務員の政治活動に対する制約に関する次のアからウまでの各記述について,猿払事件判決(最高裁判所昭和49年11月6日大法廷判決,刑集28巻9号393頁)に照らして,それぞれ正しい場合には1を 誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[ №2]から[№4])

ア. 国家公務員の政治的中立性を損うおそれのある政治的行為を禁止することは,強い政治性を有する意見表明そのものを制約する規制であるが,行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼の確保という国民全体の共同利益のためであれば,特定の内容の表現を禁止することも許される。[№2]

イ. 国家公務員法第102条第1項は国家公務員に禁止される政治的行為の具体的定めを広く人事院規則に委任しているが,一般に公務員の政治的中立性を損うおそれのある政治的行為を禁じることは許されるのであり,同条同項はそのような行動類型の定めを委任するものであって , 委任の限界を超えることにはならない。[№3]

ウ. 国家公務員の具体的な政治的行為を処罰することの合憲性判断に当たっては,当該公務員の職務内容や問題となる行為の内容などを総合的に考慮すべきである。例えば機械的労務の提供を職務とする者の政治的行為により公務員の政治的中立性が害されるおそれは小さいが他方 , 行われた行為が選挙に際しての特定政党への支援活動という政治的偏向の強いものであれば,結局処罰は合憲と判断される。[№4]

出典

問題『司法試験H20公法系科目問題

解答『司法試験H20公法系科目解答

www.eityan-houritu.site

アについて

「その行為の禁止は、もとよりそれに内包される意見表明そのものの制約をねらいとしたものではなく、行動のもたらす弊害の防止をねらいとしたもの」

ここに述べられるように、政治的行為を禁止することは意見表明の制約を狙いとしておらず、その行為による弊害防止であるとしています。

「表現の自由」の制約を目的としているものではないため、解答は2となります。

イについて

「政治的行為の定めを人事院規則に委任する国公法一〇二条一項が、公務員の政治的中立性を損うおそれのある行動類型に属する政治的行為を具体的に定めることを委任するものであることは、同条項の合理的な解釈により理解しうる」

述べられるように、政治的行為とは「政治的中立性を損なうおそれのある行動類型に属するもの」としており、その行為を委任していることが国公法より理解できます。 そのため、解答は1となります。

ウについて

本件では、公務員の行為の違法性とそれによる弊害などの保護法益の重要性などを考量していると考えられます。 そのため、解答は2となります。

 

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