司法試験H21公法系科目第7問【政教分離原則】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験公法系科目H21第7問を解説していきます。
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〔第7問〕(配点:3) 政教分離原則に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№13]から[№15])
ア.日本国憲法が政教分離規定を設けたのは,戦前の信教の自由の保障が不完全なものであったことや,各種の宗教が多元的,重層的に発達,併存してきているという我が国の事情を考慮して,信教の自由の確実な保障のためには国家と宗教との結び付きを排除する必要があると考えられたためである。[№13]
イ.国家と宗教とのかかわり合いが憲法上許容される限度は,国家の行為の目的と効果を考慮して定められる。例えば,ある市が建築工事の無事安全等を神式で祈願する地鎮祭のための費用を公金から支出する場合,行為の目的は,その儀式に対する一般人の評価を考慮せず,市の関係者がどういう意図で支出を行ったかで判断すべきである。[№14]
ウ.憲法第20条第1項後段にいう「宗教団体」とは,特定の宗教の信仰,礼拝又は普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体を指す。したがって,例えば戦没者遺族の相互扶助・福祉向上と英霊の顕彰を主たる目的とする団体が行う宗教的行事に対し,ある市が援助を与えたとしても,その援助は目的効果基準を用いるまでもなく合憲である。[№15]
出典
問題『公法系科目H21』
解答『公法系科目H21』
アについて
戦前にはある宗教に対する信仰が要請され、反対に一部の宗教団体に迫害が加えられたことがありました。
こうした弊害をなくすために信教の自由を無条件に保障し、さらにそれを確実にするために政教分離規定を設けた、というのが判例の見解となっています。 そのため、解答は1となります。
イについて
判決では、その行為が宗教的活動に該当するかを判断する際に、一般人の評価やその行われる場所など、社会通念に従って客観的に判断しなければならないとしています。 そのため、解答は2となります。
ウについて
その団体が宗教的団体に該当しなくても、その行事が宗教的行事であるならば目的効果基準を用いて判断する必要があります。 そのため、解答は2となります。
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