司法書士試験H30午前の部第2問【法の下の平等】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法書士試験H30午前の部第2問を解説していきます。

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第2問 法の下の平等に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。

ア 憲法第 14 条第 1 項に基づいて,国に対し,現実に生じている経済的不平等を是正するために金銭給付を求める権利が認められる。

イ 憲法第 14 条第 1 項は,事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱いをすることを許容している。

ウ 憲法第 14 条第 1 項の「信条」とは,宗教上の信仰を意味するにとどまらず,広く思想上,政治上の主義を含む。

エ 憲法第 14 条第 1 項の「人種,信条,性別,社会的身分又は門地」は,限定的に列挙されたものである。

オ 高齢者であることは,憲法第 14 条第 1 項の「社会的身分」に当たる。

(参考)
憲法
第 14 条 すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。

2 ・ 3  (略)

1  アウ 2  アオ 3  イウ 4  イエ 5  エオ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001266146.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001266144.pdf

アについて

法の下の平等の内容について

収入が500万円のA・収入が1000万円のBがいる場合、この収入が違うことが法の下の平等に違反することを理由とした金銭給付を求めることはできませんので、解答は✖となります。

確かに格差は生じていますが、「等しくないものを等しくなく扱う」という点で、憲法14条の平等の意味している「相対的平等」に違反していないということができます。

ただ、両者の収入が同じなのにBだけ税金を重くすることは、「等しいものを等しくなく扱う」という点で相対的平等に反しているということができます。

 

 

イについて

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差別することは当然に許されませんが、場合に応じて合理的な差別と言える場合には許されることになります。そのため、解答は◯となります。

ウについて

「信条」というのはその人が信じていることですから、宗教上の思想だけではなく政治上の思想を広く含まれるとされています。宗教は含まれないから差別するとされたら、それこそ平等の意味がなくなってしまいますよね。

そのため、解答は◯となります。

エについて

憲法14条に列挙されているものは、あくまでその例でありその例外もあるということができます。そのため、解答は✖となります。

オについて

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最高裁では「人が社会において占める継続的な地位をいうものと解される」ため、「高齢であることは右の社会的身分に当たらないとの原審の判断は相当と思われる」としており、高齢であることは社会的身分に含まれませんので、解答は✖となります。

ただし、憲法14条で示されているものはあくまで例を示したにすぎず、高齢であることはその中にも含まれるとしている点に注意しましょう。

 

以上、ア=エ=オ=✖・イ=ウ=◯なので解答は3となります。

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