司法試験H26公法系科目第3問―法の下の平等について

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H26大問3を解説していきます。

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク

 

〔第3問〕(配点:3)
法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№5]から[№7])
ア.日本国籍は重要な法的地位であり,父母の婚姻による嫡出子たる身分の取得は子が自らの意思や努力によっては変えられない事柄であることから,こうした事柄により国籍取得に関して区別することに合理的な理由があるか否かについては,慎重な検討が必要である。[№5]
イ.非嫡出子という身分は子が自らの意思や努力によって変えることはできないから,嫡出性の有無による法定相続分の区別の合理性については,立法目的自体の合理性及び当該目的と手段との実質的関連性についてより強い合理性の存否を検討すべきである。[№6]
ウ.尊属殺という特別の罪を設け,刑罰を加重すること自体は直ちに違憲とはならないが,加重の程度が極端であって,立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,これを正当化し得べき根拠を見出し得ないときは,その差別は著しく不合理なものとして違憲となる。[№7]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000123124.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000123390.pdf

アについて

www.eityan-houritu.site

日本国籍の取得というのは子の意思や努力では変えられるものではなく、両親の婚姻で決まってしまう事柄です。

そのため、こうした事柄で日本国籍の取得要件に区別を生じさせることについては慎重な検討が必要としています。

よって、解答は1となります。

イについて

www.eityan-houritu.site

最高裁では、相続制度をどのように定めるかは立法府の合理的裁量に委ねられており、その裁量を考慮してもその区別をすることに合理的な根拠が認められなければ、相続制度の区別は憲法14条1項に違反するとしました。

よって、解答は2となります。

ウについて

www.eityan-houritu.site

尊属殺の規定は削除されましたが、最高裁でも尊属殺の刑罰過重の程度によっては差別を否定すべき場合がないとは言えないとしています。

ただし、過重の程度が極端で立法目的達成の手段として均衡を失し、正当化できるような根拠を見つけられなければ尊属殺規定は憲法に違反するとしました。

以上より、解答は1となります。

 

www.eityan-houritu.site

スポンサードリンク