司法試験民法短答式試験過去問解説H28第17問【債権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H28民法第17問を解説していきます。

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〔第17問〕(配点:2)
債権に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[№17])

1.金銭債権は,当事者の意思表示によって,不可分債権とすることはできない。

2.判例によれば,履行の場所につき別段の定めのない種類債権の目的物は,債務者が債権者の住所に目的物を発送した時に特定する。

3.不可分債権者の一人が債務者に対して債務を免除した場合であっても,他の不可分債権者は,債務者に対し,債務の全部の履行を請求することができる。

4.生命又は身体が侵害されたことによって生じた不法行為に基づく損害賠償請求権は,その性質上,第三者に譲渡することはできない。

5.債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは,その選択権は,債権者に属する。

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001184007.pdf

1について

不可分債権には「性質上不可分なもの」と「意思表示による不可分なもの」の2種類があり、意思表示で不可分債権とすることも可能となります。よって、解答は✖となります。

 

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2について

民法484条では「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない」とされています。

ここで述べられるように、特定物の引き渡しで弁済すべき場所が定まっていない場合には、債権発生時にその物が存在した場所・債権者の現在の住所のどちらかで行うことになります。

発送時に特定することで運送時に紛失しても責任を負うことはなく、それは債務者に酷です。それを受けて発送時に特定はないこととされているため、解答は✖となります。

3について

民法429条では「不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる」とされています。

ここで示されるように、更改又は免除は他の債権者に影響を与えない「相対的効力」となっています。以上より、解答は◯となります。

4について

不法行為に基づく損害賠償請求権は被害者保護を目的とした「一身専属の権利」です。そのため、それを譲渡することはその債権の性質上なじまないということができそうです。

ただ、金銭債権ということで財産的価値があるということができるため、その譲渡も認められています。そのため、解答は✖となります。

5について

民法406条では「債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する」とされているため、解答は✖となります。

この理由として、債権の目的物を所有している債務者に決めてもらうのが一番である、ということが挙げられそうです。

 

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