司法試験民法短答式試験H28第26問【委任契約】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H28民法第26問を解説していきます。
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〔第26問〕(配点:2) 委任契約に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№26])
ア.委任契約を債務不履行により解除したときは,その解除は,将来に向かってのみその効力を生ずる。
イ.準委任契約は,書面でしなくてもその効力を生ずるが,委任契約は,書面でしなければ,その効力を生じない。
ウ.受任者がその委任事務処理の必要上負担した債務を委任者に対し受任者に代わって弁済することを請求する権利については,委任者がこれを受働債権として相殺することはできない。
エ.委任契約は,受任者の死亡によって終了するが,委任者の死亡によっては終了しない。
オ.受任者は,特約がなくとも,委任者に対して報酬を請求することができる。 1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ
出典
アについて
民法652条第620条の規定は、委任について準用する。
遡及効を認めてしまうと、委任契約が解除されることによってそれまでの受任者の行為に影響が出てしまうため、委任契約の解除は将来的に効果が消滅するとしています。 そのため、解答は◯となります。
イについて
民法643条委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
準委任契約は法律行為でないものとされているため(民法656条)、委任状の必要はなく、委任契約も法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することで有効となります。
そのため、解答は✖となります。
ウについて
民法650条2項受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
最高裁昭和47年12月22日判決では、 「受任者が民法650条2項前段に基づく代弁済請求権を有する場合は、委任者は受任者に対する債権で相殺することはできない」とされています。
委任者は代弁済請求権を受働債権として、委任者に対して有している債権を受働債権として相殺することができないので、解答は◯となります。
エについて
委任契約の終了事由の中に、委任者又は受任者の死亡(民法653条1号)が挙げられているため、解答は✖となります。
オについて
民法648条受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
648条で示される通り、受任者は特約のない限り委任者に報酬を請求できませんので、解答は✖となります。
以上、ア=ウ=◯・イ=エ=オ=✖なので解答は1となります。
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