司法試験民法短答式試験過去問解説H28第19問【債権者代位権】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H28民法第19問を解説していきます。

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〔第19問〕(配点:2)
債権者代位権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№19])

ア.債務者に代位して登記の移転を求める場合には,債権者は,第三債務者から直接自己へ登記を移転すべき旨の請求をすることはできない。

イ.債務者が既に自ら権利を行使している場合には,その行使の方法又は結果の良否にかかわらず,債権者は,その権利について債権者代位権を行使できない。

ウ.債権者Aが債務者Bに代位して,Bの有する債権を行使した場合において,第三債務者CがBに対して同時履行の抗弁を主張することができるときであっても,Cは,Aに対しては,同時履行の抗弁を主張することはできない。

エ.AのBに対する100万円の債権を被保全債権として,BのCに対する50万円の債権につきAがCに対して債権者代位訴訟を提起したときには,Aは,請求原因において,Bの無資力を主張・立証する必要はない。

オ.債権者代位権を行使するためには,被保全債権が代位行使される債権よりも先に成立している必要はない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001184007.pdf

アについて

不動産が甲→乙→丙の順で登記された場合に、乙を通り越して甲から丙に登記を移転する=中間省略登記を行うことはできません。順番通りに登記を移転する必要があるため、解答は◯となります。

イについて

債権者代位権の行使要件は以下のようになっています。

  1. 債務者が無資力である
  2. 債務者者が自ら権利を行使しない
  3. 債務者の持つ権利が一審専属の権利ではない
  4. 被保全債権が弁済期である

ここで述べられるように、イの場合では債務者が自ら権利を行使しているため、債権者代位権を行使することができなくなります。そのため、解答は◯となります。

ウについて

Aに債権を代位行使されてもCは品物を渡していなければそれを理由として同時履行の抗弁を主張することができます。急に出てきたAに債権を代位行使されては、Cも納得がいきませんよね。

そのため、解答は✖となります。

エについて

イで示されているように債権者代位権を行使する際には、「債務者が無資力であること」を主張立証する必要があります。無資力でなければ代位権を行使する必要もないでしょう。

そのため、解答は✖となります。

オについて

イで示されている債権者代位権の行使要件の中に「被保全債権が弁済期であること」が挙げられています。弁済期が到来していればいいので、解答は◯となります。

以上、ア=イ=オ=◯・ウ=エ=✖なので解答は4となります。

 

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