司法試験H24公法系科目第12問―【天皇又は皇室に関して】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H24の第12問を解説していきます。 

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〔第12問〕(配点:2)
天皇又は皇室に関する次のアからエまでの各記述について,正しいもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№20])

ア.天皇は,精神若しくは身体の疾患又は事故があるときは,国事行為を委任することができる。この場合には,摂政が天皇の名で国事行為を行う。

イ.皇室に財産を譲り渡し,又は皇室が財産を譲り受け,若しくは賜与することは国会の議決に基づかなければならない,というのが憲法の定める原則である。

ウ.皇位の継承について,大日本帝国憲法は,「皇男子孫之ヲ継承ス」と定めていたが,日本国憲法は,男系男子主義までも求めるものではない。

エ.国務大臣の任免,法律の定めるその他の官吏の任免の認証は,天皇の国事行為とされている。認証は,これらの行為の効力要件である。

1.アとイ 2.アとウ 3.アとエ 4.イとウ 5.イとエ 6.ウとエ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000098848.pdf』 

アについて

天皇は、精神若しくは身体の疾患又は事故があるときは、摂政を置く場合を除いて国事行為を皇室典範17条の規定で摂政となる順位にあたる皇族に委任して臨時に代行させる(国事行為の臨時代行に関する法律第2条)ことができます。

ここでは臨時代行に関することが定められており、これは「委任に関する規定」で、憲法5条の摂政とは異なるものであると解されています(憲法5条の摂政は天皇の名で国事行為を行える)。

そのため、解答は✖となります。

イについて

「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」と憲法8条に定められている通りです。そのため、解答は◯となります。

ウについて

皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

憲法2条でこのように定められているように、皇位の継承は皇室典範に基づくものとされていて憲法は「男系男子主義」まで求めていません。そのため、解答は◯となります。

ただ、大日本帝国憲法第2条では「 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス」とされていて、皇位の継承は男系男子のみとされていました。

エについて

国務大臣は内閣総理大臣によって任命され、任意で罷免されることになります。これに対して天皇が認証することになりますが、効力が発生するのは任免時とされています。そのため、解答は✖となります。

以上、ア=エ=✖・イ=ウ=◯なので解答は4となります。

 

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