司法試験H24公法系科目第20問―【憲法と条約の効力関係 憲法優位説】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H24の第20問を解説していきます。 

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〔第20問〕(配点:3)
憲法と条約の効力関係をめぐる憲法優位説に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№38]から[№40])

ア.憲法優位説の論拠の一つは,条約優位説がもたらす結果に対する批判である。それは,条約締結要件が憲法改正手続よりも緩やかであるので,条約によって実質的に憲法を改正することも可能になることへの批判である。[№38]

イ.憲法優位説によれば,条約締結権を定めている憲法の規定は,どの機関が条約締結を担うのか,またどのような手続を必要とするのかについて定めたものであって,条約の効力の根拠を定めたものではない。[№39]

ウ.憲法優位説の中にも,条約の違憲審査を控えるべきであるとする考え方がある。それは,憲法第81条の文言に条約が含まれていないことや憲法第98条第2項が条約の誠実遵守を宣言していることを根拠とする。[№40]

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000098848.pdf

アについて

憲法優位説は憲法が上になるという考え方で、もしそれが条約優位説になれば条約を改正することで、改正手続きが困難な憲法を改正することにもつながるという批判が論拠の一つになります。

よって、解答は1となります。

イについて

憲法優位説に立つとするなら、憲法に反する法律・命令・詔勅・国務に関する行為はもちろん、それに反する条約も効力を持ちません。条約を別個のものとして考えるならば、それは条約優位説にもつながってしまうからです。

そのため、解答は2となります。

ウについて

憲法81条では

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

このように条約が文言に含まれず、憲法98条2項では条約及び国際法規を誠実に順守することを必要としています。

もし条約に違憲審査を行って違憲になるとしたら、それによって誠実に順守するという文言に反したり、締結した相手国の信頼を裏切ることにもつながります。

そのため、憲法優位説といっても中には違憲審査を控えるべきとする考えもあるため、解答は1となります。

 

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