司法試験H24公法系科目第11問―【国民の義務に関して】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H24の第11問を解説していきます。 

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〔第11問〕(配点:2)
国民の義務に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№19])

ア.憲法第26条第2項前段は,国民がその保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負うことを定めている。これは,同条第1項が保障する子どもの教育を受ける権利の保障に対応したものであって,子ども自身に教育を受ける義務を負わせるものではない。

イ.憲法第27条第1項は,国民の勤労の義務を定めている。したがって,憲法第18条で禁止されている「その意に反する苦役」に至らないものであれば,法律の定めにより,刑罰をもって勤労を強制することも許される。

ウ.憲法第30条は,国民の納税義務を定めている。この規定は,国家の存立に不可欠な財政を支えるという国民としての当然の義務を確認するとともに,その義務の具体化には法律の定めが必要であるとしたものである。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000098848.pdf

アについて

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旭川学テ事件では憲法26条1項・2項について次のように述べています。

「この規定は、福祉国家の理念に基づき、国が積極的に教育に関する諸施設を設けて国民の利用に供する責務を負うことを明らかにするとともに、子どもに対する基礎的教育である普通教育の絶対的必要性にかんがみ、親に対し、その子女に普通教育を受けさせる義務を課し、かつ、その費用を国において負担すべきことを宣言したものである」

ここから、憲法26条の規定は国の責務と親に義務を課す内容であることが分かります。そのため、解答は◯となります。

イについて

何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させらない

刑罰を科して労働を強制することは、まさに憲法18条で禁止されている「意に反する苦役」に該当すると考えらます。これは、意に反する苦役が「犯罪に因る処罰の場合に許される」ときには認められることからも明らかです。

そのため、解答は✖となります。

ウについて 

国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

憲法30条で述べられるように、国民は「法律の定めがあれば」納税する義務を負います(租税法律主義)。逆に法律に基づかなければ納税の義務を負いません。そのため、解答は◯となります。

以上、ア=ウ=◯・イ=✖であるので解答は3となります。

 

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