司法試験H24公法系科目第14問―【憲法9条1項・2項に関して】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H24の第14問を解説していきます。
スポンサードリンク
〔第14問〕(配点:2)
次のaの①及び②は憲法第9条第1項についての見解であり,bの③及び④は同条第2項についての見解である。また,次のアからウまでの各記述は,それらの見解を組み合わせて考えた場合に,憲法第9条による戦争放棄の範囲等がどのように帰結されるかを述べたものである。アからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№24])a.①.第1項は,戦争と,武力による威嚇又は武力の行使を,国際紛争を解決するための手段として放棄したものであり,自衛目的によるものは放棄していない。
②.およそ戦争とは全て国際紛争解決の手段として行われるものであり,その目的のいかんを問わず,戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,第1項により一切放棄されている。b.③.「前項の目的を達するため」とは,第1項による戦争放棄の目的を達するためという意味であり,第2項はそのための戦力の保持を禁止したものである。
④.「前項の目的を達するため」とは,戦争を放棄するに至った動機を一般的に示すものであり,第2項は一切の戦力の保持を禁止したものである。ア.①及び③の見解を前提とすると,自衛のための戦争は認められるので,そのための戦力保持は許されることになる。
イ.①及び④の見解を前提とすると,一切の戦力の保持が禁止される結果として,自衛のための戦争も放棄されることになる。
ウ.②及び④の見解を前提とすると,侵略戦争はもとより,自衛のための戦争も認められず,そのための戦力の保持も一切許されないことになる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×出典
憲法9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。出典『日本国憲法』
スポンサードリンク
それぞれの見解について
①は「戦争のための手段」としての戦力を放棄したものであり、自衛目的の戦力であれば許されるという見解になります。
②は国際紛争解決の手段として戦争は行われるため、戦争と武力による威嚇又は武力の行使は一項で放棄されているという見解になります。
③は戦争を放棄するために戦争目的の戦力保持を禁止するという見解になります。
④一切の戦力を持つことも許されないという見解になります。
アについて
①では「戦争のための戦力」の放棄・③では戦争目的の戦力保持の禁止が述べられており、ここから自衛のための戦力は許されるという考えを導けます。そのため、解答は◯となります。
イについて
①では自衛目的による戦争や武力放棄はしていないが、戦争を放棄するために戦力を保持しないという④の見解を前提とすれば、自衛のための戦争も放棄されることになると考えられます。
そのため、解答は◯となります。
ウについて
②では戦争は許されない・④では戦力を持つことは許されないとしており、ここから自衛のための戦争も認められず戦力保持も許されないということになります。よって、解答は◯となります。
以上、ア=イ=ウ=◯であるため解答は1となります。
スポンサードリンク