司法試験H24公法系科目第7問―【森林法共有林分割事件について】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H24の第7問を解説していきます。
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〔第7問〕(配点:2)
森林法共有林分割制限事件判決(最高裁判所昭和62年4月22日大法廷判決,民集41巻3号408頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№13])
ア.憲法第29条は,私有財産制度を保障しているのみでなく,国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障しているが,それ自体に内在する制約があるほか,社会全体の利益を図るための規制により制約を受ける。
イ.財産権規制の目的には,社会政策及び経済政策上の積極的なものから,安全の保障や秩序の維持等の消極的なものまで種々様々なものがあり得るが,森林法の共有林分割請求権を制限する規定は積極目的による規制である。
ウ.財産権規制の目的が公共の福祉に合致しないことが明らかであるか,規制手段が規制目的を達成する手段として必要性や合理性に欠けていることが明らかであって,立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り,当該規制立法は違憲となる。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×出典
判例はこちらになります。
アについて
憲法29条は私有財産制度を保障しているだけではなく、財産権を基本的人権として保障しています。
そして、「社会全体の利益を考慮して財産権に対し制約を加える必要性が増大するような場合には、立法府は公共の福祉に適合する限り財産権に制約を加えることができる」としています。
そのため、解答は◯となります。
イについて
最高裁では「財産権に対し規制を要求する社会的理由ないし目的も、社会公共の便宜の促進、経済的弱者の保護等の社会政策及び経済政策上の積極的なものから、社会生活における安全の保障や秩序の維持等の消極的なものに至るまで多岐にわたるため、種々様々でありうる」としています。
ただ、このように積極的なものから消極的なものまでの規制をする目的がありますが、それについては述べていません。
そのため、解答は✖となります。
ウについて
違憲となる場合について
- 立法の規制目的が前示のような社会的理由ないし目的に出たとはいえないものとして公共の福祉に合致しないことが明らかである場合
- 規制目的が公共の福祉に合致するものであつても規制手段が右目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかであつて、そのため立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合
以上より、解答は◯となります。
ア=ウ=◯・イ=✖であるため解答は3となります。
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