司法試験H26公法系科目第17問一議員定数配分規定と選挙の効力について

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H26大問17を解説していきます。

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〔第17問〕(配点:2)

裁判所が違憲とした議員定数配分規定に基づいて行われた選挙の効力に関する次のアからウまでの各記述について,正しいもの全てを挙げた組合せを,後記1から7までの中から選びなさい。(解答欄は,[№31])

ア.一般的な法の基本原則に基づくものとして事情判決の法理を適用して,選挙を無効とせず違法の宣言にとどめるのは,当該選挙を無効とすることによって憲法が所期していない結果を生じることを回避するためである。

イ.定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けず,訴訟が提起された選挙区の選挙だけを無効とする手法は,投票価値が不平等であるとされた選挙区からの代表者がいない状態で定数配分規定の是正が行われるという問題がある。

ウ.定数配分規定の違憲判断を選挙の効力と結び付けない判決の将来効の法理は,再選挙を執行することが事実上不可能であることや,事情判決を繰り返すことによって生じる司法審査制自体への弊害という問題にも対処しようとするものである。

1.ア 2.イ 3.ウ 4.アイ 5.アウ 6.イウ 7.アイウ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000123124.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000123390.pdf

アについて

判例では違憲判決を出したとしてもすぐに違憲状態が解消されず、かえって憲法が所期していない結果を生じることから、その法理に従って違法にとどめるとしています。そのため、解答は◯となります。

イについて

訴訟が提起された選挙区だけを無効としそれを選挙の結果と結びつけないとすれば、その「選挙区の選挙無効≠選挙の無効」とはならず、結果に反映されない是正が行われる問題があると言えます。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

行政の措置が法律に違反していても、それを取り消すことによる利益を損なわないようにするのが事情判決です。

ただ、これでは法律違反の措置を利益を失うことを理由にそのままにしておくことになり、司法審査になっていないと考えられるはずです。

そこで、将来的に効力を失わせる将来効の法理によって、それまで行われた選挙を無効とせずこれからそれに基づいて行われる選挙を無効として、事情判決による裁判所への弊害(信頼を損なうこと)を防止し、これまで発生した利益を守ることができます。

こうしたことから解答は◯となります。 

以上、ア=イ=ウ=◯なので解答は7となります。

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