民法司法試験過去問解説2017年短答式試験19問 

みなさん、こんにちは!

今日は、【指名債権の譲渡】の問題を解説します。

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〔第19問〕(配点:2)
指名債権の譲渡に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№19])
ア.債権譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,債務者が譲渡を承諾した場合を除き,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することができる。
イ.債権の譲受人は,譲渡人に代位して債務者に対して債権譲渡の通知をすることにより,その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。
ウ.抵当不動産の第三取得者が被担保債権の弁済をしたことによって抵当権が消滅した場合,その後,被担保債権の債権者がその債権を第三者に譲渡し,債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾しても,当該第三取得者に対する関係においては,抵当権の効力は復活しない。
エ.債権が二重に譲渡され,第一の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に,第二の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合,第一の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。
オ.債権が二重に譲渡され,確定日付のある証書による通知が同時に債務者に到達したときは,譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は,同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責任を免れることができる。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ

問題『http://www.moj.go.jp/content/001224569.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001225946.pdf

アについて

最高裁平成21年3月27日判決では以下のように述べられています。

 譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することは,債務者にその無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,許されない。

ここに述べられるように、譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者が特約を理由として無効を主張するのは、債務者に無効を主張する意思があるなどの事情がなけらば許されないとされます。

自分で特約に違反しているので当然のことかもしれません。以上より、解答は✖となります。 

イについて

判例では譲受人が債権者代位権を行使して代位して通知を行うことは許されないとしています。

そのため、解答は〇となります。

 

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ウについて

最高裁平成4年11月6日判決ではこのことに関して以下のように述べられています。

 抵当権の被担保債権が弁済によって消滅した後に譲渡され、債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾した場合であっても、右弁済前の第三取得者に対する関係において、抵当権は復活しない。

以上より、解答は〇となります。 

エについて

通知や承諾は確定日付のある通知をしなければ、債務者以外の第三者に対抗することはできない(民法467条2項)とされています。

二重譲渡の優劣の判断では、判例は確定日付のある通知を優先するとしています。よって、本問題では第二譲受人が優先することが分かるので解答は〇となります。

 

 

オについて

最高裁昭和55年1月11日判決では、指名債権が二重譲渡されて確定日付のある通知が同時に到達した場合には、各譲受人は各債務者に譲受債権全額の弁済を請求でき、譲受人から弁済の請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、弁済の責を免れられないとしています。

よって、解答は✖となります。

以上、ア=オ=×・イ=ウ=エ=〇なので解答は2となります。

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