司法試験民法短答式試験過去問H30第28問―【事務管理】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第28問を解説していきます。

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〔第28問〕(配点:2)
Aが長期出張で不在中に,Aの居宅の生け垣の一部が強風により倒壊した。その後,Aの居宅の隣地に居宅を有するBがAのために義務なく行った行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№28])
ア.Bが自ら生け垣を修理した場合には,Bは,Aに対し,その修理に対する報酬の支払を請求することはできない。
イ.Bが造園業者に依頼して生け垣の修理をさせた場合には,Bは,Aに対し,造園業者へ未払の請負代金を支払うよう請求することはできない。
ウ.Bが自ら生け垣を修理した後,台風により生け垣全体が倒壊した場合において,生け垣の修理がAの意思に反していたときは,Bは,Aに対し,その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
エ.Bが自ら生け垣の修理を始めたが,途中で放置したために生け垣全体が枯れてしまった場合には,Aは,Bに対し,生け垣が枯れた分の損害の賠償を請求することはできない。
オ.Bが,Aの居宅の防犯だけでなくBの居宅の防犯も目的として自ら生け垣を修理した場合には,Bは,Aに対し,その修理に要した費用の支払を請求することはできない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

事務管理においては費用の償還は請求することができますが、報酬の支払いを請求することはできません。

よって、解答は〇となります。

イについて

管理者は本人のために有益な費用を支出した時には、本人に対してその償還を請求することができます(民法702条1項)。

よって、BはAに請求を行うことができるので解答は✖となります。

ウについて

本人の意思に反する事務管理は本人が現に利益を受けている限度で請求を行うことができます(民法702条3項)。

本問題では、Bが修理した後に全壊していて本人が利益を受けていないと考えられるので、解答は〇となります。

エについて

管理者は事務処理について善管注意義務を負っていて、その義務に違反した場合には損害賠償を行うことが可能です。

これは義務なく事務管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法で、その事務の管理をしなければならない(697条1項)ことに違反していることからも明らかと言えます。

そのため、解答は✖となります。

オについて

防犯用の生け垣を修理したということで、管理者が本人の利益となる費用を支出したことが明らかと言えます(民法702条1項)。

そのため、解答は✖となります。

以上、ア=ウ=〇・イ=エ=オ=×ですので解答は1となります。

 

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