司法試験民法短答式試験過去問解説H28第23問【売買契約】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H28民法第23問を解説していきます。

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〔第23問〕(配点:2)
Aは,Bとの間で,Aの所有する著名な陶芸家の銘が入った絵皿(以下「甲」という。)をBに300万円で売り,代金はBがCに支払うとの合意をした。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№23])

ア.AB間の売買契約の当時,Cが胎児であり,受益の意思表示をすることができなかったときは,その後Cが出生したとしてもAB間の売買契約は無効である。

イ.AB間の売買契約が締結され,Cが受益の意思表示をした後,実は甲が贋作であることが判明し,BがAの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合,CがAの詐欺について善意無過失であるときは,Bは詐欺取消しをCに対抗することができない。

ウ.Cに対して債権を有するDは,AB間の売買契約が締結された後,Cが受益の意思表示をせず,かつ無資力である場合には,Cに代位して受益の意思表示をすることができる。

エ.AB間の売買契約が締結された後,AがBに甲を引き渡したにもかかわらず,BがCに甲の代金300万円を支払わない場合には,CはBに催告した上,AB間の売買契約を解除することができる。

オ.AB間の売買契約が,AのCに対する宝石の売買契約に基づく代金債務を弁済するために締結され,Cが受益の意思表示をした場合において,Aがその目的をBに告げていなかったときは,AC間の宝石の売買契約が無効であっても,Cは,Bに対し,甲の代金300万円の請求をすることができる。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001184007.pdf

アについて

最高裁判決昭和37年6月26日では「 第三者のためにする契約は、たとい契約の同時に存在していなくても将来出現するであろうと予期された者をもつて第三者とした場合でも、有効に成立する」とされています。

第三者のためにする契約で第三者が現存しなくてもこれから現存する者であっても、有効に成立します。そのため、解答は✖となります。

イについて

96条3項で詐欺の場合であっても善意の第三者に対抗することができませんが、意思表示をした受益者の権利は契約から「直接」生じるもので、独立した利害関係はなく民法96条3項の第三者には当たらないとされています。

そのため、解答は✖となります。

参考:『民法0231 司法書士 H18-18 第三者のためにする契約

ウについて

受益の意思表示に関して、判例では債権者代位権の目的となるとされています。そのため、解答は◯となります。

エについて

オについて

 

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