司法試験民法短答式試験過去問H30第19問―【弁済】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第19問を解説していきます。

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〔第19問〕(配点:2)
弁済に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№19])
ア.委託を受けない保証人は,主たる債務者の意思に反して弁済することができない。
イ.弁済を受領する権限を有しない者に対する弁済は,債権者がこれによって利益を受けたとしても,債権者に対し効力を有しない。
ウ.第三者は,当事者が合意により禁止したときは,弁済をすることができない。
エ.弁済の時期について不確定期限があるときは,債務者は,その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
オ.預金通帳を盗んだ者が預金通帳を使用して現金自動入出機から預金の払戻しを受ける行為については,弁済の効力が生じることはない。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

委託を受けない保証人は、主たる債務者の意思に反して弁済を行うことができてその場合にも求償権はありますが、民法462条に基づいて「主たる債務者が利益を受けている限度においてのみ求償権を有」します。

そのため解答は✖となります。

イについて

前条の場合を除き、弁済を受領する権限を有しない者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。

出典『民法第479条 - Wikibooks

弁済を受領する権限のない者に弁済をしても無効となりますが、479条にあるように債権者が何らかの理由で利益を受けている場合は、その限度で有効となります。

よって、解答は✖となります。

 

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ウイついて

債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。

出典『民法第474条 - Wikibooks

債務の弁済は第三者でも行うことができますが

  • 債務の性質がこれを許さない
  • 当事者が反対の意思を表示

このどちらかの場合には弁済することができません。そのため、弁済は無効となります。よって、解答は〇となります。

エについて 

オについて

最高裁平成15年4月8日判決では以下のように述べられています。

現金自動入出機による預金の払戻しについても民法478条が適用される。

民法478条では、債権の準占有者にした弁済は

  • 弁済をした者が善意
  • 過失がなかった

この場合に限って効力を有するとされています。対面ではありませんが、現金自動入出機でも民法478条が適用される判例でした。

よって解答は✖となります。

 

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