司法試験民法短答式試験過去問H30第6問―消滅時効の中断

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第6問を解説していきます。

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〔第6問〕(配点:2)
消滅時効の中断に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№6])
ア.判決により確定した不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は10年である。
イ.訴訟上相殺の主張がされ,受働債権につき債務の承認がされたものと認められる場合において,その後相殺の主張が撤回されたときは,承認による時効中断の効力は失われる。
ウ.一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えの提起があった場合,裁判上の請求による時効中断の効力は,その一部の範囲においてのみ生じ,残部に及ばない。
エ.不動産の仮差押えによる時効中断の効力は,仮差押えの被保全債権について本案の勝訴判決が確定した時に消滅する。
オ.目的物の引渡請求訴訟において留置権の抗弁を主張したときは,その被担保債権について裁判上の請求による時効中断の効力を生ずる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。

出典『民法第174条の2 - Wikibooks

174条の2から明らかなように、確定判決によって確定した権利は10年の時効期間が定められます。

そのため、解答は〇となります。

イについて

最高裁昭和35年12月23日判決では、「相殺の主張をする際には受働債権について時効中断事由たる債務の承認がなされたものと認められる場合、その後総裁の主張が撤回されても承認による時効中断の効力は失われない」としています。

よって、解答は✖となります。

 

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ウについて

最高裁昭和37年8月10日判決では「一個の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴が提起された場合に、右一部請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない」とされています。

よって、解答は〇となります。

エについて

最高裁平成10年11月24日判決では、差押えの被保全債権について本案の勝訴判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力が消滅するとはいえない」としています。

よって、解答は✖となります。

オについて

最高裁昭和38年10月30日の判決では、「留置権の抗弁は、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合には、当該債権について消滅時効中断の効力があり、かつ、その効力は、右抗弁の撤回されてないかぎり、その訴訟係属中存続するもの」としています。

留置権の抗弁が裁判上で主張された場合には時効中断の効力があります。一方、留置権の主張を訴訟でした際には「催告」と同じ効果があるとしており、その場合は6か月以内に裁判上の請求を行うことで商務事項の信仰を妨げることができます。

よって、解答は✖となります。

以上、ア=ウ=〇・イ=エ=オ=×なので解答は2となります。

 

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