【広島暴走族追放条例事件】―合憲限定解釈をされた事例

みなさん、こんにちは!

今日は、広島暴走族追放条例事件を解説していきます。

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争点

本件の条例「暴走族」の定義について

  • 「社会通念上の暴走族以外の集団が含まれる文言となっている」

  • 「禁止行為の対象及び市長の中止・退去命令の対象も社会通念上の暴走族以外の者の行為にも及ぶ文言となっている」

「規定の仕方が適切ではなく、本条例がその文言通りに適用されることになると、規制の対象が広範囲に及び、憲法21条1項及び31条と関係で問題がある」とします。

以上のように、過度に広範な規制となることが憲法21条1項・31条に違反しないかが争点となります。

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 『日本国憲法第21条 - Wikipedia

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

日本国憲法第31条 - Wikipedia

判決

本件条例に関して

「本条例19条が処罰の対象とするのは、同17条の市長の中止・退去命令に違反する行為に限られる」

「本条例の目的規定である1条は『暴走行為、い集、集会及び祭礼等における示威行為が、市民生活や少年の健全育成に多大な影響を及ぼしているのみならず、国際平和文化都市の印象を著しく傷つけている』存在としての『暴走族』を本条例が規定する諸対策の対象として想定するものと解され」るとします。

また、「本条例5条、6条も、少年が加入する対象としての『暴走族』を想定しているほか、本条例には、暴走族行為自体の抑止を眼目としている規定も数多く含まれてい」ます。

施行規則に関して

  • 「暴走、騒音、暴走族名等暴走族であることを強調するような文言等を刺しゅう、印刷等をされた服装等』の着用者の存在
  • 「暴走族名等暴走族であることを強調するような文言などを刺しゅう、印刷等をされた旗等」の存在
  • 「暴走族であることを強調するような大声の掛け合い等」

こうしたことを判断基準として挙げています。

 

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本条例の暴走族について

「暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には、服装、旗、言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られるものと解され」るとします。

→「市長において本条例のよる中止・退去命令を発し得る対象も、被告人に適用されている『集会』との関係では、本来的な意味における暴走族及び上記のようなその類似集団による集会が、本条例16条1項1号、17条所定の場所及び態様で行われている場合に限定されていると解され」ました。

限定解釈について

限定的に解釈すると「本条例16条1項1号、17条、19条による規制は、広島市内の公共の場所に置ける暴走族による集会等が公衆の平穏を害してきたこと、規制に係る集会であっても、これを行うことを直ちに犯罪として処罰するものでは」ありません。

これを「市長による中止命令等の対象とするにとどめ、この命令に違反した場合に初めて処罰すべきものとするという事後的かつ段階的規制によっていること等にかんがみると、その弊害を防止しようとする規制目的の正当性、弊害防止手段としての合理性、この規制により得られる利益と失われる利益との均衡に照らし、いまだ憲法21条1項、31条に違反するとまではいえない」としました。

練習問題

合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。

判例は,集会の自由の規制が問題となった広島市暴走族追放条例について,条例の改正が立法技術上困難でないから,あえて合憲限定解釈をする必要はないとした。(司法試験H27  第18問ウ)

解答:✖

www.eityan-houritu.site

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