憲法判例【徳島市公安条例事件】と条例制定権
みなさん、こんにちは!
今日は、徳島市公安条例事件を解説します。
参考は最高裁判決になります。
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争点
①道路使用の違反の罰則について
徳島市の条例が道路交通法より、罰則を重く定めたことが許されるのか。
②文言について
また、条例の「交通秩序を維持すること」の文言が、憲法31条罪刑法定主義明確性の原則に違反しないか。
判決
①について
「条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言と対比するのみではなく、それぞれの趣旨、内容、目的及び効果を比較し両者の間に矛盾牴触があるかどうかによってこれを決しなければならない」
「国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規定を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令を条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく条例が国の法令に違反する問題は生じない」
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つまり、その地域の実情に応じて規定(条例)を制定できる場合もあります。
そのため、その文言だけを比較して、法令に違反するかどうかを決めてはならない
今回の判例では、条例が法令に違反しないとされました。
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②の規定について
「道路における集団更新等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序の阻害をもたらすような行為を禁止すべきことを命じているものと解されるべきでであ」るとしました。
そして、この認識をするには一般人であれば容易な事であり、自身の行為が禁止される行為なのか、この理解も容易である。
また、このような判断に至るまでに「さほどの困難を感じることはないはずであり、犯罪構成要件を欠き憲法31条に違反するものとはいえない」としました。
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よく考えれば分かることだから、条例の規定は憲法違反ではないよということですね。
「よく考えれば分かる」というのは、国家公務員法の102条1項で公務員が禁止される「政治的行為」も同じようなことがいえます。
このように、条例の文言・目的やその内容を考えると、憲法に違反しないとされた判例です。
確認問題 〇か×
①条例においては、一定の取締規定を設け、法律による委任の範囲で、その違反に対する罰則を規定することが許されるが、禁錮又は懲役の刑は、全国一律に規律すべきものと解されるので、それぞれの条例の間で法定刑が異なる場合は、憲法14条に違反する。(司法試験 H28 【第3問】 ウ)
解答 ×
条例制定権についてはこちらもご覧ください。
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