【衆議院議員選挙と政見放送】公職選挙法の合憲性

みなさん、こんにちは!

今日は、衆議院議員選挙と政見放送の関係性を見ていきます。

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争点

衆議院小選挙区選出議員の選挙で候補者届出政党に選挙運動を認める公職選挙法の規定と憲法14条の関係

判決

選挙制度について

国会は両議院の議院の各選挙制度の仕組みの具体的決定に関して広い裁量を持っています。その裁量で、両議院の「公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するための適切な選挙制度の仕組みを決定」できます。

国会が新たな仕組みを採用すれば、「憲法上の要請に反するため国会の広い裁量権を考慮してもその限界を超えており、是認できない場合に、初めてこれが憲法に違反するものと解すべき」としています。

小選挙区制について

  • 「全国的に見て国民の高い支持を集めた政党等に所属するものが得票率以上の割合で議席を獲得する可能性がある」→「民意を集約し政権の安定につながる」
  • 「支持を集めれば野党や少数派政党であっても多数の議席を獲得できる可能性がある」→「政見の交代を促す特質を有する」
  • 「個々の選挙区においては、全国的に支持を得ない政党等に所属するものでも当該選挙区において支持を集めれば当選できる」

→特定の政党のみに有利な選挙制度とは言うことができない。

「死票を多く生む可能性があるがそれは避けられず、各選挙区における最高得票者をもって当選人とすることが選挙人の総意を示したものではないといえない」とします。

→憲法の要請に反するとは言えない。

「小選挙区制は選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法」であり、「選出された議員が全国民の代表であるという性格と矛盾牴触するものではない」とします。

小選挙区制の採用は国会の裁量の限界を超えてはいないので、憲法の要請・規定には違反していない。

 

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政見放送について

「政党その他の政治団体にも選挙運動を認めること自体は、選挙制度を政策本位、政党本位のものとするという国会が正当に考慮し得る政策的目的ないし理由によるものである」とします。

→合理性を是認することができる。

候補者届出政党になり得る政党等に要件を設けており「実績を有しない政党等は候補者届出政党になることができないものとして」おり、「選挙運動の上でも、製陶等の間に一定の取り扱い上の差異が生ずることは」否定できない。

しかし「候補者届出政党の要件は、国民の政治的意思を集約するための組織を有し、継続的に相当な活動を行い、国民の支持を受けていると認められた政党等が、小選挙区選挙において政策を掲げて争うにうさわしいものである」ことを前提とすると、以下のように理解できます。

政策本位、政党本位の選挙制度をより実効あらしめるために設けられたと解されるのであり、そのような立法政策をとることには相応の合理性が認められ、これが国会の裁量権の限界を超えるとは解されない」としました。

候補者届出政党に属しない者について

所属しない者でも自ら活動ができるのであり「それ自体が選挙人に政権党を訴えるのに不十分であるとは認められない」

→「右のような選挙運動上の差異を生ずることをもって、国会の裁量の範囲を超え、憲法に違反するとは認め難い」とします。

また、「政見放送は選挙運動の一部を成すにすぎず、その余の選挙運動については候補者届出政党に属しない候補者も十分に行うことができ」ます。

その政見等を選挙人に訴えるのに不十分とはいえないことに照らせば、政見放送が認められないことの一事をもって、選挙運動に関する規定における候補者間の差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとまでは断定し難い」としました。

以上より、改正公選法の選挙運動に関する規定は憲法14条1項に違反しないとされました。

練習問題

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合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。

衆議院議員選挙では,小選挙区の候補者のほか,所属する候補者届出政党にも選挙運動が認められており,無所属の候補者は政見放送ができないなど非常に不利であるが,他に十分な手段があるため,政策・政党本位の選挙制度の実現のための立法裁量の範囲を逸脱していない。(司法試験H27 大問16 ウ)

解答 〇

 

政見放送についてはこちらもご覧ください。

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