【早稲田大学江沢民講演会事件】プライバシーに関する情報
みなさん、こんにちは!
今日は、早稲田大学江沢民講演会事件を解説していきます。
最高裁判決はこちらになります。
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事件
江沢民国家主席に危害を加えるかもしれないグループの情報があったことで、警視庁は本権の名簿を早稲田大学に提出するように求め、大学が学内で検討した結果、本権の名簿を警視庁に提出しました。
これに対して、学生は本件の名簿写しの無断提出がプライバシーの侵害だとして、学校補人に対して損害賠償を求めました。
争点
大学が主催する講演会に申し込んだ学生の指名・住所等の情報は、法的保護の対象となり得るか。
判決
情報の内容について
本件の学籍番号・氏名・住所・電話番号は、学校側が個人識別などを行うための情報であって、その限りでは「秘匿されるべき必要性」が必ずしも高くはないとしています。講演会に参加を申し込んだ学生も同断とします。
しかし、こうした秘密性が高くはない個人情報でも、本人が他人に開示されたくないと考えるのは自然なことで、それに対する期待は保護されるべきとしました。
→本件の個人情報は、プライバシーに関係する情報で法的保護の対象となる。
こうしたプライバシーに関係する情報は、個人の人格的な権利利益を損なう恐れがあるもので、慎重に扱われる必要があります。
大学側の行為について
大学が本件の個人情報を警察に開示することをあらかじめ明示したうえで、講演会参加希望者に名簿へ記入させるなどして、開示について承諾を求めることは容易であったと考えられます。
そうした対応が困難であった事情がうかがわれない本件で、個人情報を開示することについて上告人らの同意を得る手続きをとらず、無断で個人情報を警察に開示した大学の行為は、上告人らが任意提供したプライバシーにかかわる情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切るものです。
→上告人らのプライバシーを侵害するものとして、不法行為を構成する
練習問題
合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。
イ.大学が講演会を主催する際に集めた参加学生の学籍番号,氏名,住所及び電話番号は,個人の内心に関する情報ではなく,大学が個人識別を行うための単純な情報であって,秘匿の必要性が高くはないから,プライバシーに係る情報として法的保護の対象にならない(司法試験H28 第二問 イ)
解答:✖
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