憲法判例【塩見訴訟】最高裁平成元年3月2日判決

みなさん、こんにちは!

今日は、最高裁平成元年3月2日判決塩見訴訟を解説していきます。 最高裁判決全文はこちらになります。

※「憲法25条について」を補足程度に流してもらうと時間の短縮になります。

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争点

障害福祉年金の受給資格に国籍要件を設けることと憲法14条1項・25条の関係。

判決

国籍条項と憲法25条

立法府は、その支給対象者の決定について、もともと広範な裁量権を有している

「加うるに、社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許されるべきことと解される

「したがつて、法81条1項の障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである」

国籍条項と憲法14条1項

「廃疾の認定日に日本国籍がある者とそうでない者との間に区別が設けられているが、立法府の裁量の範囲に属する事柄というべきであり、憲法14条1項に違反しない」 

受給資格について、国籍要件を設けたとしてもそれは立法府の裁量の範囲内である限りは憲法に違反しないということ
 
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憲法25条について

その1

「いわゆる福祉国家の理念に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるよう国政を運営すべきこと(1項)並びに社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきこと(2項)を国の責務として宣言したものである」

その2

「同条1項は、国が個々の国民に対して具体的・現実的に右のような義務を有することを規定したものではなく、同条2項によつて国の責務であるとされている社会的立法及び社会的施設の創造拡充により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されてゆくものであると解すべきこと」

その3

「そして、同条にいう『健康で文化的な最低限度の生活』なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であつて、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、同条の規定の趣旨を現実の立法として具体化するに当たつては、国の財政事情を無視することができない

その4

「また、多方面にわたる複雑多様な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするから、同条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するに適しない事柄である」  

 

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