司法試験民法短答式試験過去問H30第30問―【親子関係をめぐる訴訟】

みなさん、こんにちは!

今日は、民法過去問H30の第30問を解説していきます。

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〔第30問〕(配点:2)
親子関係をめぐる訴訟に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№30])
ア.嫡出否認の訴えは,夫のほか,子の血縁上の父も提起することができる。
イ.妻以外の第三者が生んだ子を嫡出子として出生を届け出たため戸籍上嫡出子となっている子について,夫が父子関係を争う場合,嫡出否認の訴えによることはできない。
ウ.夫が長期間服役しており,妻が夫の子を懐胎することが不可能であったと認められる時期に妻が懐胎した子について,夫が父子関係を争う場合には,嫡出否認の訴えによらなければならない。
エ.母子関係の存在を争う第三者は,母と子のどちらか一方が死亡した後は,親子関係不存在確認の訴えを提起することができない。
オ.女性が,再婚禁止期間内に婚姻届が誤って受理されて再婚し,出産した場合において,生まれた子に対し嫡出の推定が重複するときは,父を定めることを目的とする訴えによって裁判所がこれを定める。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/001258877.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/001259697.pdf

アについて

妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子となるとされ、その場合に夫は子が嫡出であることを否認することができます(民法774条)。

そのため、解答は✖となります。

 

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イについて

妻が産んだ子ではなく第三者が産んだ子であるよな場合には、嫡出否認による訴えではなく父子関係不存在確認の訴えによればいいとされています。

よって解答は〇となります。

 

ウについて

妻が夫の子を懐胎することが不可能な事実がある場合には、嫡出推定が及ぶことはありません。それは本問題のように、服役中であったり行方不明、または介在滞在中などのような場合になります。

この場合は親子関係不存在確認訴訟により誰からでも覆すことができるため、解答は〇となります。

エについて

親子関係不存在確認の訴えを起こすときには、原則親子の両方が被告になりますが、どちらかが亡くなっている場合には、他の一方を被告とすることができます(人事訴訟法12条)。

よって解答は✖となります。

オについて

再婚禁止期間に反して再婚した女性が出産した場合で、嫡出の推定で子を定めることができない場合には裁判所が定めることになります(民法773条)。

よって、解答は〇となります。

以上、ア=ウ=エ=✖・イ=オ=〇ですので解答は4となります。

 

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