憲法判例【猿払事件判決】公務員の政治活動の自由
みなさん、こんにちは!
今日は、猿払(さるふつ)事件判決を解説します。
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争点
郵政事務次官のXは、衆議院総選挙の際に自身が応援する政党のポスターを配布したり、公営掲示板に掲示するなどしていました。
Xは公務員であるため、このような行為が公務員で禁止されている政治活動に当たるかが争点です。
判決
公務員について
公務員の職務には中立性が求められ、それが保たれることで国民からの信頼も得られます。
そのため、公務員の政治的中立性を損なうような政治的行為を禁止するのは、「それが合理的で必要やむをえない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところである」としました。
政治的行為について
政治的行為とは、特定の政党を支援して特定の文書(ポスターなど)掲示し、配布する行為のことを意味しています。
それは、政治的に偏向が強くなるような行為だけではなく、政治的行為の中でも「公務員の政治的中立性の維持を損うおそれが強いと認められるもの」も含まれ、「政治的行為の禁止目的との間に合理的な関連性をもつものであることは明白」としました。
また、意見表明の自由が制約されるのは、政治的行為を禁止することによる限度での「間接的、付随的な制約」であり、政治的行為外の行為で意見表明をする自由は制約されません。
国民の利益について
政治的行為を禁止することは、それに内包されている意見表明を目的としておらず、政治的行為による弊害を防止することをねらいとしています。
つまり、政治的行為の禁止とは国民全体の利益を守ることを目的とし、政治的行為を禁止することで「得られる利益とこれにより失われる利益との間に均衡を失するところがある」とは、認められないとしました。
まとめると、公務員の職務には公共性が強く政治的中立性が求められるため、政治的行為を禁止することは憲法が許容するところであり、それは国民の利益を優先するために必要であるという判例でした。
公務員の政治活動の制限についはこちらの判例もご覧ください。
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