憲法判例【天皇即位の礼・大嘗祭への知事の参加の公費支出】と政教分離―最高裁平成14年7月11日

みなさん、こんにちは!

今日は、県知事の大嘗祭への参加の判例を解説していきます。

最高裁判決全文はこちらになります。

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争点

天皇即位の礼・大嘗祭への県知事の参加は政教分離原則に違反するか。

判決

政教分離規定について

「制度的保障の規定であって,信教の自由そのものを直接保障するものではなく,国家と宗教との分離を制度として保障することにより,間接的に信教の自由の保障を確保しようとするもので」す。

政教分離原則について

  「国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが,国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものでは」ありません。

一定のかかわりを持つことを認めている

そして、「宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかかわり合いが,我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである」としています。

両者の関わり合いが相当限度を超えるものは許されない

結論①

憲法20条3項にいう宗教的活動とは,およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を指すものではなく,そのかかわり合いが上記にいう相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうものと解すべきである」としています。

⇒目的効果基準を採用している。

そして、その行為が宗教的活動に該当するかどうかは、社会通念に従って客観的に判断しなければならないとしている。以上をもとに、本件を検討していきます。

 

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大嘗祭について

皇位継承の際に通常行われてきた皇室の重要な伝統儀式であ」り、「被上告人は,宮内庁から案内を受け,三権の長,国務大臣,各地方公共団体の代表等と共に大嘗祭の一部を構成する悠紀殿供饌の儀に参列して拝礼したにとどま」りました。

この参列は、「地方公共団体の長という公職にある者の社会的儀礼として,天皇の即位に伴う皇室の伝統儀式に際し,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇の即位に祝意を表する目的で行われたもので」した。  

以上が、原審の判断で、この点を考慮して最高裁は判決を出しています。

  「被上告人の大嘗祭への参列の目的は,天皇の即位に伴う皇室の伝統儀式に際し,日本国及び日本国民統合の象徴である天皇に対する社会的儀礼を尽くすものであり,その効果も,特定の宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるようなものではないと認められる」

⇒上記に挙げた目的効果基準に該当していない

そのため、「被上告人の大嘗祭への参列は,宗教とのかかわり合いの程度が我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められ」ない

まとめ

以上のように、最高裁は県知事の大嘗祭への参加は目的効果基準に違反しておらず、そのため政教分離規定にも違反しないとしました。 

 

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