憲法判例【破壊活動防止法の扇動罪】思想良心・表現の自由の関係
みなさん、こんにちは!
今日は、破壊活動防止法事件を解説します。
スポンサードリンク
争点
①破壊活動防止法の39条・40条のせん罪が政治思想を処罰するものであり、憲法19条に違反するか。
②また、同39条・40条が表現の自由を処罰するものであり、憲法21条に違反するか。
③せん動の概念が不明確であり、憲法31条に違反するか
判決①
せん動罪について
政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的(以下「政治目的」という。)をもって、各条所定の犯罪のせん動をすることを処罰するもの
ただし、せん動罪が処罰するのは「せん動として外形に現れた客観的な行為」であり、その基礎にある思想や信条を処罰するものではありません。
そのため、憲法19条の思想良心の自由を侵害していないことは明らかです。
スポンサードリンク
判決②
せん動とは
政治目的をもって、各条所定の犯罪を実行させる目的をもって、文書若しくは図画又は言動により、人に対し、その犯罪行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与える行為をすること
せん動の定義をみると、表現活動が含まれると理解することができます。
しかし、表現活動は絶対無制限に保障されるものではなく、公共の福祉に反して表現活動の限界を超えれば、保障されないものであることは明らかです。
そのため、せん動は表現活動の中でも「重大犯罪をひき起こす可能性のある社会的に危険な行為」であり、表現活動の限界を超えているため制限を受けることは明らかです。
ここから、せん動を制限することは、表現の自由に反しないことは明らかです。
判決③
せん動の概念が不明確であるとするが、これは同法4条2項から明らかで、概念が漠然不明確であるとは言い難く、憲法31条の罪刑法定主義に違反しないとしました。
まとめると、せん動は憲法19条思想良心の自由・21条表現の自由・31条罪刑法定主義に違反しないことが明らかという判例でした。
司法試験でも出題されています。
スポンサードリンク