憲法判例【立山町高齢職員処分事件】憲法14条法の下の平等
みなさん、こんにちは!
今日は、立山町高齢職員処分事件を解説します。
参考は最高裁判決になります。
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争点
職員削減の際に高齢であることを理由にした待命処分は、憲法14条に保障される法の下の平等に反するか。
※待命とは一定期間、仕事を中断すること
判決
憲法14条・地方公務員法13条の社会的身分の解釈
「人が社会において占める継続的な地位をいうものと解される」ため、「高令であることは右の社会的身分に当たらないとの原審の判断は相当と思われる」
しかし、「右各法条は、国民に対し、法の下の平等を保障したものであり、右各法条に列挙された事由は例示的なものであって、必ずしもそれに限るものではないと解するのが相当である」
つまり、憲法14条に示された事由はあくまでも例を示したに過ぎないから、それ以外の事由、本件でいえば高齢などのことが含まれると理解すべきということです。
そのため、原審の社会的身分に高齢が含まれないとした判断は、妥当とはいえないとした。
※右各法条とは憲法14条1項やそれ以外の条項
しかし、「右各法条は、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、差別すべき合理的な理由なくして差別することを禁止している趣旨と解すべきであるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱をすることは、なんら右各法条の否定するところではない。」
差別するのに合理的な理由があれば、差別的に取り扱うことも許されるということ。
ここで注目してほしいのは、「国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく」という部分。
これは、法の下の平等が絶対的平等、つまり国民全員を平等に取り扱うことを意味しないということです。
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国民全員を平等に扱おうとすると…
選挙権などを18歳以上に認める
↓
国民全員を平等に取り扱っていないことになる
↓
法の下の平等は、絶対的平等を保障してないとされる
そのため、法の下の平等は、相対的平等を意味するとされる。
相対的平等とは、個々に様々な違いがあるとしたうえで、「等しき者を等しく取り扱う」こと。
話が脱線してしまいましたが、高齢者は社会的身分に含まれ差別は許されない。
しかし、法の下の平等は相対的平等を意味しており、合理的な差別なら許容されるため、今回の処分は違法ではないとしました。
確認問題 〇か×
①憲法14条第1項の「社会的身分」とは、人が社会において占める継続的な地位をいうから、高齢であることはこれに当たらないので、町長が町職員の余剰を整理する際、高齢のみを基準として対象者を選択しても、平等原則には反しない。(司法試験 H27 【第2問】 ア)
②憲法第14条第1項後段に列挙された事由は例示的なものであって,必ずしもこれに限る趣旨ではない。また,第14条第1項は,合理的理由のない区別を禁止する趣旨であるから,事柄の性質に即応して合理的と認められる区別は許される。(司法試験 H22 【第3問】 イ)
解答 ①× ②〇
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