憲法判例【堺通り魔実名報道事件】憲法21条表現の自由
みなさん、こんにちは!
今日は、堺通り魔実名報道事件を解説します。
参考は最高裁判決になります。
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争点
プライバシー権の侵害を理由に、表現の自由を制限し得るか。
いわゆる「堺通り魔事件」において、本件被控訴人の顔写真及び実名が公表されたことで、プライバシー権などを侵害されたことを理由に、「損害賠償と謝罪広告」を求めた訴訟である。
判決
権利について
プライバシー権・名誉権・肖像権は、憲法13条の「公共の福祉に反しない限り、最大限に尊重されるべきもの」という規定から当然に導き出される。
表現の自由
表現の自由は、自身が表現する行為と「新聞・テレビ・書籍・雑誌等を通じて表現行為を享受することを含む」とされています。
そのため、上記権利と表現の自由との関係は慎重に考慮すべきであります。
氏名の公表について
少年法で氏名を公表されないことは「公共の福祉や社会正義を守ろうとするもの」であるが、犯罪を犯した者が「実名で報道されない権利を付与していると解することはできない」としています。
また、「新聞協会の報道の準則」においては、基本的に氏名は公表しません。
ただ、公表することによる「社会的利益」が優先される場合は、氏名を公表することもあり得るとしています。
さらに、本件事件は社会の関心が強くまた「悪質重大な事件」であることから、「本件記事は、社会的に正当な関心事であった」とされています。
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プライバシー権などの侵害
当該記事の表現方法などには、本件事件の性質などを考慮すれば違法な点はどこにも見当たらないとした。そこで、以下3つの権利について検討している。
プライバシー権
上記でみてきたように、「本件記事は、表現行為が社会の正当な関心事であり、その表現内容・方法も不当なものとはいえない」ため、プライバシー権には当たらないとしました。
氏名肖像権
上記の通り、本事件は社会の関心事であり、「当該写真(中学卒業時の写真)を掲載したことをもって、その表現内容・方法が不当なもの」とはできず、権利を侵害したということはできない。
名誉権
まず、「表現行為が社会の正当な関心事であり、かつその表現内容が真実であれば、その表現行為は違法性を欠き、違法なプライバシー権の侵害とはならないと解すべき」としたうえで、本件が社会の関心事であるという事実を踏まえれば、この行為に違法性があるとはいえないとしました。
以上の点を踏まえ、実名での報道が違法とならないこと、上記3つの権利を侵害してはいないということが認められた判例でした。
類似の判例はこちらになります。
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