憲法判例【旭川学テ事件】と教育権の帰属・教育の自由
みなさん、こんにちは!
今日は、旭川学テ事件を解説します。
この学力テストの歴史というのは、意外に最近なんです。実質的に始まったのが2007年で、それまで中断されていました。
それが本件のような学テに反対する人の闘争です。
本記事は、旭川学テ事件最高裁判決を参考にしています。
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事件、争点
学力テスト実施の際に教諭らが妨害行為が公務執行妨害罪に問われる
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ここで、教育権の帰属問題、教育の自由の2つが争われました。
国家と教師のどちらに、教育の自由の権利があるのかが争点です。
判決
教育権の帰属の2つの見解
①法律を作る国や教育行政機関にもある程度の教育内容を決定する権利を有する
②憲法23条の教授の自由は、教師の教授の自由を含むため、教師にもその権利があ
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このように見解は示したものの、「極端かつ一方的である」としてどちらの主張も採用しませんでした。
教師の教授の自由
「必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有すると解さざるをえず」としており、一定の教育権があるとします。
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確かに、教師は親のように生徒の近くにいるため、ある程度の教育権を有するのは当然です。
国家の教育権について
国政上の意思決定の中で、政治的な問題がからむことで一方的に国の主義・主張を押し付ける可能性があることは、否定できない。
それは当然に、憲法26条・13条により許されるものではありません。
※憲法26条は、子供が教育を受ける権利
ただ、こうしたことは、「子どもの教育内容に対する国の正当な理由に基づく合理的な決定権能を否定する理由となるものではない」
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国にも教育権があることを認めています。
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じゃあ、どっちが教育権持ってるんだというと、その答えは、国に認められるとしました。
教師にも一定程度認められるものの、大まかなことを決定するのは国です。
憲法13条・26条の内容を達成するために、国に必要な範囲内で教育権が認められました。
教育権の帰属は判断できないが、国は教師よりも教育権が認められることを覚えておきましょう。
親の教育決定権について
「親は子女の教育の自由を有すると認められますが、主として学校外における教育や学校選択の自由に表れるものと考えられる」としています。
練習問題 〇か×
①個人の基本的自由を認め,その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては,子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入は,許されない(司法試験 H23 【第9問】イ)
②子どもの教育は,専ら子どもの利益のために,教育を与える者の責務として行われるべきものであるから,教育の内容及び方法については,その実施に当たる教師が,教育専門家としての立場から,決定し遂行すべきものである。(司法試験 H23 【第9問】 ウ)
答え ①〇 ②×
他年度の出題
教育の自由についてはこちらの判例もご覧ください。
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