【伝習館高校事件】学習指導要領の拘束力・教育の自由 最高裁平成2年1月18日

みなさん、こんにちは!

今日は、伝習館高校事件を解説していきます。

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事件

社会科教諭らは学習指導要領の目標や内容を逸脱した指導を行ったうえ、考査の不実施・一律評価等を行いました。

これに関して懲戒免職処分がされましたが、教諭らは県教育委員会を被告として処分の取り消し訴訟を提起します。

争点

当該教諭らを処分したことは裁量権の範囲を逸脱したものとなるか。

判決

教諭らの行為について

「高等学校における教育つ活動の中で枢要な部分を占める日常の教科の授業、考査ないし生徒の成績評価に関して行われたものである」

→「教育の具体的内容及び方法につき高等学校の教師に認められるべき裁量を前提としてもなお、明らかにその範囲を逸脱して、日常の教育のあり方を律する学校教育法の規定や学習指導要領の定め等に明白に違反するもの

 

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各教科使用義務違反の点について

「年間を通じて継続的に行われたものであって、特に被上告人B2の教科書不使用は、所定の教科書は内容が自分の考えと違うとの立場から使用しなかったもの」でした。

その被告人の「日本史の考査の出題及び授業、地理Bの考査の出題の点は、その内容自体からみて、当該各科目の目標及び内容からの逸脱が著しいとみられるもの」です。

こうしたことを考慮すると「被上告人らの右各行為の法規違反の程度は決して軽いものではないというべき」とされました。

まとめ

最高裁はこうした点を考慮して次のようにまとめています。

「上告人が、所管に属するA県下の県立高等学校等の教諭等職員の任免その他の人事に関する事務を管理執行する立場において、町かい事由に該当する被上告人らの前期各行為の性質、態様、結果、影響等のほか、右各行為の前後における被上告人らの態度、懲戒処分歴等の諸事情を考慮のうえ決定した本件懲戒免職処分を、社会観念上著しく妥当を欠くものとまではいい難く、その裁量権の範囲を逸脱したものと判断」できないとしました。

以上のように、原審では処分の取り消しなどが認められていましたが、最高裁では懲戒免職処分が裁量権の範囲内とされました。

練習問題 

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合っていれば〇、間違っていれば✖で答えよ。

国が一定の教育水準確保のために定立する学習指導要領は,生徒側の教育内容に対する批判能力の程度及び学校選択の余地等に鑑みれば,高等学校では法的拘束力を持たない。(司法試験 H27 第八問 ウ)

解答 ✖

 

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