憲法判例【労働基本権と争議行為】最高裁平成12年3月17日

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今日は、労働基本権と争議行為について解説していきます。 最高裁全文はこちらになります。

 

争点

国家公務員の給与改定に関して人事院勧告が行われましたが、政府は財政事情を理由に勧告を凍結しました。

これに全農林労働組合は抗議してストライキを行いますが、組合役員は懲戒処分を受けました。 以上のことから、国家公務員の争議行為を禁止する国家公務員法の規定が憲法28条に違反しないかが争点となります。

判決

①国家公務員法の規定について

98条2項の規定が憲法28条に違反しないことは、全農林警職法事件より明らかとなっているので、原審の判断は是認できる。

②結社の自由及び団結権の保護に関する条約(ILO八七号条約)三条並びに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五四年条約第六号)八条一項(C)について

「いずれも公務員の争議権を保障したものとは解されず、国公法九八条二項及び三項並びに本件各懲戒処分が右各条約に違反するものとはいえない」

③国公法第三章第六節第二款の懲戒に関する規定及びこれに基づく本件各懲戒処分について

同第四点について が憲法三一条の規定に違反するものでないことは、最高裁昭和六一年(行ツ)第一 一号平成四年七月一日大法廷判決・民集四六巻五号四三七頁の趣旨に徴して明らか というべきである。論旨は採用することができない。

④代償措置について

「本件ストライキの当時、国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置がその本来の機能を果たしていなかったということができない」

⑤裁量権について

「上告人らに対する本件各懲戒処分が著しく妥当性を欠くものとはいえず、懲戒権者の裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない