憲法判例【三井美唄炭坑労組事件】と労働組合の統制権
みなさん、こんにちは!
今日は、三井炭鉱労組事件を解説します。
参考は最高裁判決になります。
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争点
労働組合の意思に反し立候補した組合員が立候補を取りやめなかったことを理由として処罰した。
組合の統制権が、個人の立候補の自由を制限して処罰することまで及ぶかが争点。
判決
まず、労働組合が団結権を実現するために、必要かつ合理的な範囲で組合員にたいする統制権を有していると認められた。
また公職選挙への立候補の自由は、憲法15条で保障される基本的人権の一つです。
これらの事実を考慮していくと、組合が選挙で統一候補を立てている場合に「統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときはこれを断念させるよう勧告、または説得することは許される」
↓
説得・勧告をしたりするのは許容範囲
「その域を超えて、その立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは組合の統制権の限界をこえるものとして 許されない」
↓
統制権は一定の範囲内で行使が許されるが、それを超えて人権である立候補の自由を制限するのは許されないとされた。
労働組合内の事件ですが基本的人権を侵害するため、司法審査の対象となり統制権が制限される場合もあると覚えておきましょう。
練習問題 〇か×
①最高裁判所の判例の趣旨によれば,労働組合には組合員に対する統制権が認められるが,公職選挙において,組合がその統一候補以外の組合員の立候補に対し,統制違反を理由に組合員としての権利を停止する処分をすることは許されない。(司法試験 H23 【第10問】 ウ)
答え 〇
こちらの司法試験でも出題されています。
労働基本権に関する判例もご覧ください。
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