司法試験H24公法系科目第3問―【北方ジャーナルと事前差し止め】

みなさん、こんにちは!

今日は、司法試験H24の憲法第3問解説していきます。

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〔第3問〕(配点:2)
出版物の頒布等の仮処分による事前差止めの許否等をめぐる北方ジャーナル事件判決(最高裁判所昭和61年6月11日大法廷判決,民集40巻4号872頁)に関する次のアからウまでの各記述について,当該判決の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№5])
ア.裁判所の事前差止めは,思想内容等の表現物につき,その発表の禁止を目的として,対象となる表現物の内容を網羅的一般的に審査する性質を有するものではあるが,裁判所という司法機関により行われるものであるから,憲法第21条第2項前段の「検閲」には当たらない。
イ.裁判所の事前差止めは,表現行為が公共の利害に関する事項の場合は原則として許されないが,表現内容が真実でなく,又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白で,かつ,被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは,例外的に許される。
ウ.公共の利害に関する事項についての表現行為に対し事前差止めを命ずる仮処分命令を発する際には,口頭弁論又は債務者の審尋を行い,表現内容の真実性等の主張立証の機会を与えることが原則として必要である。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

出典

問題『http://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf

解答『http://www.moj.go.jp/content/000098848.pdf

判例はこちらになります。

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アについて

最高裁の要旨では「雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法二一条二項前段にいう検閲に当たらない。」とされています。

しかし、思想内容等を対象とした表現物のを事前差し止めするのは検閲に該当してしまいます。

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そのため解答は✖となります。

イについて

事前差し止めは原則として許されませんが「表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるとき」に許されるとしています。

そのため、解答は◯となります。

ウについて

仮処分命令を出す際には主張立証の機会を与えることが原則とされていますが、その表現内容が事実ではなく、被害者が回復困難な損害を被る場合にはそれを経なくてもいいとしています。

以上より解答は◯となります。

ア=✖・イ=ウ=◯なので解答は5となります。

 

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