司法試験H20公法科目第12問【国民主権】
みなさん、こんにちは!
今日は、司法試験H20公法系科目第12問を解説していきます。
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〔第12問〕(配点:3) 国民主権の観念における権力性の契機と正当性の契機に関する次のアからウまでの各記述について それぞれ理論的に成立するものには1を 成立し難いものには2を選びなさい。(解答欄はアからウの順に[№28]から[№30])
ア. 国民主権の観念は,本来君主主権との対抗関係の下で生成し,主張されてきたものである。このような経緯を踏まえると,国民主権の担い手は,抽象的なものではないし,特別の資格を持った君主でもないことになる。[№28]
イ. 主権の権力性の契機において,主権の主体である国民は有権者(選挙権者の総体)を指す。しかし,国民を有権者ととらえることは,必ずしも憲法が直接民主主義を採用しているという結論を帰結するわけではない。[№29]
ウ. 主権の正当性の契機において,主権の主体である国民は全国民(国籍保持者の総体)を指す。国民を全国民ととらえると,国民主権の原理は,命令的委任に拘束された国民代表制を要請することになる。[№30]
出典
問題『司法試験H20公法系科目問題』
解答『司法試験H20公法系科目解答』
アについて
君主に対抗するものとして生まれたものであり、そうすると、国民主権が保障される担い手は抽象的であってはいけないはずだし、君主制に対抗するものであるのだから、担い手が君主でないと言うことができるでしょう。
そのため、解答は1となります。
イについて
この考え方においては、主権を行使できるのは国民のうちの有権者に限られることになりますが、「行使できる」のが主権者であるということで、直接民主主義を採用しているという議論を帰結するわけではないでしょう。
そのため、解答は1となります。
ウについて
対して、主権の正統性の契機は、有権者ではなく国民の総意を重視しています。
ただ、ここで重視するのも「国民の総意」であり、国民代表制というわけではないでしょう。 そのため、解答は2となります。
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